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2021.03.29

オンラインセミナー「母集団をどう作る!?2020年中途採用マーケット動向まとめ」レポート(第28回クリーデンス法人向けイベント)

クリーデンスでは去る2021年1月27日(水)、法人向けセミナー「コロナ禍の採用をデータを元に振り返る、2020年中途採用マーケット動向まとめ」をオンラインで開催いたしました。

コロナ影響が長引く現在、採用成功のためには、これまで以上に<今>の転職市場動向を理解することが重要です。本レポートを、今後の採用活動にお役立ていただければ幸いです。

コロナ禍の採用活動

2019年に1.6倍前後を推移していた有効求人倍率は、2020年の新型コロナウィルスの流行によって低下を続け、2020年9月には1.06倍となりました。以降はわずかずつ上昇を続け、2020年1月現在は1.10倍となっています。
小売業態の多いアパレル・ファッション業界への影響はさらに深刻で、2020年は春から夏にかけて、クリーデンスがお預かりする求人の数は大きく減少しました。ただし秋以降は、各社でコロナ禍における課題や対応方針の整理が進み、依然として前年を割ってはいるものの増加傾向にあります。

それに対して、求職者は例年と大きく変わらない動きが続いています。
ただしその傾向を見ると、退職が決まっているなどすぐに転職したい方と、相談しつつ様子を見たいという方に二極化しており、アパレル・ファッション業界を取り巻く環境が大きく変わったことで、働く人々の意識や転職活動の進め方にも変革が起き、多様化している様子がうかがえます。

このような状況下で、EC関連職種やリユース・D2Cなど、コロナが追い風となったポジション・企業での採用活動が目立ちました。
また、これまで課題だった母集団形成がスムーズに進み、即戦力採用に成功したという声も多く聞かれました。


職種別に見る転職動向・採用成功のヒント

デザイナー

求人数は4~5月に大きく落ち込んだものの、夏以降に各社が採用活動を再開し、9~12月は前年を上回りました。
求職者の側では、これまでデザイナーに多かった「好きなブランドで働きたい」という声が減少傾向にあり、リモートワークや副業制度の有無など、働く環境を重視する求職者が増えてきています。

これまでの選考では、感性を知るため、対面での面接を大切にしてきた企業も多いかと思いますが、ウェブで一次面接を実施する企業が増えています。デザイナーに限らずですが、各社ともコロナに応じた選考を行う必要があるでしょう。これによって地方の求職者も候補に含まれるなど、よりスムーズな母集団形成につながる可能性も高くなります。

パタンナー

コロナ影響を最も受けた職種の一つがパタンナーです。
求職者数は2018年ごろから緩やかな増加傾向にありますが、2020年は求人数が激減。工場付きパタンナーの活用によってポジション自体がなくなった企業もあり、「転職せざるを得ない」という求職者の増加につながっています。

2020年のパタンナー求人は、組織の若返りや、3D CADなど新しい技術の導入の目的で、経験年数よりもポテンシャルを重視するケースが多く見られました。
求人が発生すると求職者が殺到する状況ですので、採用を検討している企業にとっては大きなチャンスと言えます。

MD

求人数は8月以降に増加傾向に転じ、12月には前年同月のおよそ2倍の求人をお預かりしました。コロナ禍で落ち込んだ売上を回復させるために、短期で成果を出せる人材を求める声が高まっています。
求職者数には波があるものの、年間を通してみると2019年をやや上回りました。やはり企業の倒産やブランド閉鎖を理由とする方が増えています。

全体として買い手市場に転じたとは言えますが、その中でデジタルリテラシーが高い人材は、引き続き売り手市場の傾向が続いています。また若年層を中心に、業界への不安を感じて異業界への転職を検討する人材が増えているため、母集団の形成には、年収や環境などの魅力化はもちろん、事業やブランドの成長性や明確なビジョンも重要になっています。

生産管理

求人数は他の職種と同様、コロナ禍により減少しましたが、夏以降に復調し、9~12月は前年を上回りました。
海外出張に行かれず、新しい生産背景を開拓することが難しい現在、直貿の経験・知見のニーズが高まっています。それにともなって、語学力や仕様書作成などのスキルも求められています。

求職者の傾向としては、会社都合で転職活動を開始した方も多いものの、依然として商社・OEM企業からブランド側へ移りたい、新たな生産背景の経験を積みたい、素材やアイテムの幅を広げたいという声も多く聞かれました。
業務委託や時短勤務を希望する求職者も増えているため、働きかたの柔軟な対応が採用成功につながります。

営業

2020年はコロナ影響により、SVや直営店営業など、小売にかかわるポジションの求人は減少しましたが、好調のEC系企業での求人が増加しました。また販路の拡大を目指し、新規開拓に強い人材を求める傾向も見られました。
求職者は、やりがいやネームバリューよりも、安心感や長期就業を求める傾向が強くなっています。

営業職は異業界への転職が比較的容易で、競合する企業は業界内に限りません。業種の違いが年収の違いに直結しているのも事実です。
面接では取引先の関係性や売上状況など、企業に対する安心感につながる点をしっかりとお伝えいただくと、求職者の意向が上がり、転職成功につながる可能性が高まります。

EC・マーケティング

EC関連の求人は数年前から増加傾向が続いています。
2020年はコロナ影響によりEC強化の流れが加速し、分析やシステム構築などのスキル、あるいはリーダー・マネージャーやCTOなど高いポジションの経験を求める声が高まりました。ただし競合する企業がアパレル・ファッション業界に限らないため、「やりがい」や「年収」といった基本的なところに、採用成功につながる大きなポイントがあります。

求職者も増加しており、現在のところはウェブの知見を学びたい、専門性を強化したいという若年層が多い状況です。企業側に教育の余地があれば、ターゲットをこの層にまで広げ、意欲のある方に目を向けることが、母集団形成の大きなカギとなるでしょう。

店長・販売

緊急事態宣言下での店舗休業の影響が大きく、最も求人数が減少したのが店長・販売職でした。
求職者数も前年を下回ったものの、減少率は求人数より緩やかです。また企業やブランドの閉鎖に加えて、派遣社員・契約社員の契約打ち切りを背景に、比較的経験の浅い人材が増加しています。

採用競合の減少にともなって、採用中の企業には有効応募が集まりやすくなっています。
オンライン面接であっても全身を映してもらう時間を設けるなど、現状に合った方法で進めることで、このような状況下で強く求められる、自社やブランドと親和性の高い即戦力の採用成功につながります。


各社の取り組みは?

セミナーの後半はグループに分かれ、2020年の各社の採用活動、および2021年に変えたいことをテーマにディスカッションを行いました。
クリーデンスが主催するセミナーではお馴染みとなっているグループディスカッション、もちろんオンラインでも実施しています。
日ごろは見えにくい他社の取り組みなどを聞くことができるため、毎回ご好評をいただいております。

やはりコロナの直接的な影響や、それにともなう業界・転職市場の変化についての話題が多く挙がりました。
「リモートワークの普及に時間がかかってしまった」「毎年行っている新卒研修が行えなかった」など、4月ごろを中心に対応の追い付かなかった点があった一方で、「採用をストップしたため採用手法の見直しに時間が割けた」「地方での販売スタッフ面接に人事が行かれず、現地スタッフに任せたところ、当事者意識を持ってもらえた」など、思わぬメリットにつながった企業も少なくなかったようです。

また生活様式や働く人の意識が変わることにともなって、各社が求める人材も変わってきています。
「質にこだわる採用を強化したが、年収レンジとの兼ね合いが難しい」
「異業界からも優秀な人材を採用したいが、アパレル独特の風土とのすり合わせに難航している」
「デジタルに強いプレス職がなかなか採用できない」
「求職者が求める、安定性や明確なビジョンを分かりやすく伝えていきたい」
などの意見が挙がりました。


クリーデンスでは、今後もこのようなセミナーや講演会を企画してまいります。
テーマや登壇者についてのリクエスト、内容についてのご意見がございましたらお気軽にご連絡ください。
次回セミナーにつきましても、詳細が決まりしだい、メールや当ウェブサイト等にてご案内させていただきます。

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