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2021.01.04

アパレル・ファッション業界×転職市場 2020年振り返りと2021年の展望~事業責任者×マネージャー座談会

新年、明けましておめでとうございます。
2020年は近年類を見ないほど激動の1年となりましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は落ち着く様子を見せず、2021年も引き続き、さまざまな「変化」や「新しい価値観」対応していかなければならない1年となることでしょう。そこで今回は、2020年のアパレル・ファッション業界の転職市場を振り返りつつ、2021年の展望について、クリーデンス事業責任者の河崎と、マネージャーの細野が座談会を行いました。新年スタートのタイミングでぜひご覧ください。


4~6月を底に7月以降は徐々に回復、10月ごろを境に、未来に向けて動き始め採用活動を再開する企業が増加。

編集

今日はよろしくお願いいたします。それではさっそくですが、まず2020年の振り返りから。
ちょうど1年前、2020年1月初旬より、中国で新種のウイルスが流行しているというニュースが流れていました。このころはまだ「他国のニュース」という距離感で、1月後半ごろから一部中国出張が制限されている話を耳にする程度でした。

河崎

そうですね。2月後半から3月、いち早く動き出したのがインバウンド影響の大きな外資・ラグジュアリーブランドを中心とした企業で、3月中には求人がすべてストップしました。
4月の緊急事態宣言後からは、百貨店やショッピングビルの閉店に伴い国内アパレルも相当深刻な状況に。お店を開けられないため、売上ゼロで人件費が掛かる形となり、企業も苦しくて減給や解雇という判断をせざるを得なくなりました。

編集

これからどうなるんだろう…と先も見えず、一番苦しい時期でしたね。

河崎

自宅待機やリモートワークの方が多かったこともあり、この時期は「不安が募って」というご相談が非常に多かったです。

編集

6月に緊急事態宣言が明けてからはどのような動きでしたか?

河崎

7月以降は底を抜けた感があり、徐々に前を向いて動き出す流れになってきました。ただ倒産なども含め、厳しい状態は続き、最悪な状態からどうやって抜け出すか、目の前のことに試行錯誤していた時期だったと思います。
10月ごろを境に、この先の見通しが立ち始め、目の前ではなく未来に向けて動き始める企業が目に見えて増えました。それに伴って、今後の成長に必要な人材獲得のため、採用活動を再開する企業も増えてきています。

編集

どの企業も厳しい2020年を過ごしてきたと思いますが、一方でコロナ禍のマイナス影響を受けていない企業や、むしろ好調だった企業もありました。どのような特徴があったのでしょうか?

河崎

コロナ禍以降の採用傾向については、4~9月の前期、10月以降の後期でやや変化したように感じます。

前期<4~9月>

  1. 1.コロナ禍に関わらず以前よりデジタル化に積極的な企業や、デジタルを主軸とするビジネスモデルの企業など
  2. 2.郊外店舗に強みを持っており、かつコスパの高い企業
  3. 3.企業に財源の余裕があり、業績自体は厳しいものの採用アクセルを踏めた企業
  4. 4.幅広いアイテムを扱っているがゆえにリスク分散ができた企業。特に商社・OEM・ODM系企業

後期<10月以降>

  1. 上期の1~4に加え…
  2. 5.グローバル全体で売上拡大がはかれており、業績回復の早かった外資・ラグジュアリー企業
  3. 6.コアファンを掴んでいるデザイナーズをはじめとする高感度ブランド

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こうやって見ると、消費者行動の影響に加え、もともとの「企業力」が明暗を分けた印象を受けます。

河崎

1、3、5あたりは特にそうですね。ここで挙げたどれかに該当する企業は、厳しい状況下でも変わらず採用活動を行っていたり、一時的にストップしていたとしても、再開が早かったりしました。

編集

クリーデンスでお預かりする求人数も、ピークの4~6月はコロナ禍前の半分以下まで減ってしまいました。上記6つのカテゴリーに相当する企業を中心に採用活動が復活しているとのことですが、直近の状況はいかがですか?

河崎

10月以降、新規でお預かりする求人数は、前年同時期比で約85%まで戻ってきています。
ただ職種によって傾向は異なり、デザイナーやMD求人は前年同等かそれ以上に回復。EC・Web・ITやデジタルマーケティング系職種の求人は、むしろ右肩上がりで伸びています。
コロナ禍でもっとも求人が減ったのは販売職でした。やはり店舗を開けられない時期が長かったことが直接的な打撃に繋がっています。とはいえ、外資・ラグジュアリー企業を中心に求人は増えており、回復傾向にあることは他職種と同様です。


買い手市場の中、「不安」を「前向き」な気持ちに切り替え、即戦力を求める企業に対してどのように貢献できるかという姿勢が重要。

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アパレル・ファッション業界の打撃に対し、そこで働く方々の転職意向などはどのような変化がありましたか?

細野

通常、転職理由は「キャリアアップ」「人間関係の悩み」「就業条件の改善」などさまざまですが、コロナ禍に突入して以降、9月ごろまでは、転職理由のほとんどが、「会社が無くなってしまう」「働いていた店舗が閉店する」「給料が下がって暮らしていけない」「現職の将来性が不安」などのコロナ影響でした。
ただ、ちょうど求人が復調してきたタイミングと同じ10月ごろからは、現状と向き合った上で、「今の不安」よりも「将来のこと」を考えて転職を考える方や、この状況を前向きに捉え、「新しいことにチャレンジしてみたい」とご相談くださる方が増えてきました。

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新しいことへのチャレンジ、というのは具体的にはどのようなことでしょう?

細野

チャレンジの内容自体はそれぞれ異なりますが、共通する背景としては、リモートワークが当たり前になって働き方が変わったことが挙げられます。移動や出張などの時間が短縮され、生産性が上がったため、空いた時間で今までとは違うこと、新しいことをしたい、というパターンが増えてきています。

編集

以前、「業務委託」についての座談会でも同様の話は出ていました。

細野

「将来のこと」を考える方には2パターンの変化があると感じています。ひとつは雇用の不安から安定した企業や正社員を希望する方の増加です。何をもって安定と呼ぶのか、正社員だと安定なのか、という点はありますが、感覚として少しでも不安を無くしたい、という思考ですね。
もうひとつは、一社に属して社員として働くことをリスクと捉え、複数の企業と業務委託契約することでリスク分散し、フリーランスとして働きたいというニーズの増加です。後者は「自分の腕を頼りに」ということから、デザイナーなど技術職の方が多いです。

編集

両者とも、「不安とどう向き合うか」という点では同じで、どのように不安を減らすかという手段が異なるということですね。

細野

そうですね。「この仕事が好き」という軸を持った方が多いのは、アパレル・ファッション業界の大きな特徴ですが、世の中が不安定なときは、どうしても「安定」「安心」という思いが先立ってしまいますよね。業界そのものへの不安から、異業界に目を向ける方もいらっしゃいますが、今は業界を問わず厳しい企業の方が多いため、未経験からスタートできる仕事となると限られてしまいます。

編集

思い返すとリーマンショックのときも、金融や保険などの異業界へと転職された方が、「アパレルに戻りたいです」「やっぱり販売の仕事が好きだと気づきました」とご相談にいらっしゃるケースが多かったです。

細野

はい。そうした観点から、もしアパレルの仕事が難しい場合でも、できるだけご経験を活かせる仕事をおすすめいたします。
実際に、コスメやインテリア、雑貨など、アパレル以外の消費財企業や、ECやWebを主軸にしている企業などの注目が今すごく高まっており、私たちも広義の「ファッション」の仕事として、ご支援させていただいています。

編集

確かに、まったくの畑違いの業界・仕事よりはチャレンジしやすい気がしますね。
では、このような状況下で転職成功している方の共通点や特長などはありますか?

細野

企業も限られた予算の中で立て直し、成長させるために厳選して採用を行っているため、必然的にスキル・経験・志向性における要求レベルは上がっています。
たとえばMDやデザイナーなど川上職であれば、売れるものを作れる、売れる企画が立てられる人。販売職であれば、お客さまが減少している中でも色んな手を使って売れる人。つまり、「数字が作れるかどうか」です。

編集

なるほど、この厳しい状況を即戦力で打破できる力が必要ということですね。

細野

はい。買い手市場で求人に対して応募者の数が多いので、同じようなスキル・経験を持ったライバルがたくさんいます。スキルや経験はあって当たり前、プラスアルファで意欲や姿勢などのマインド面も含め、面接官の心をつかむ必要があります。
また、多数の応募者に対して慎重に比較検討したいという企業の思いから、1人当たりの面接回数が増加傾向にあるため、タフさも求められます。これらが備わっている人が、転職に成功している方の共通点だと思います。

編集

企業は、どのようなところから意欲や姿勢を評価しているのでしょうか?

細野

応募する企業やブランドのことを深く研究し、自身ならどのような強みをどう活かせるか?どんなことを実現していきたいか?と自分の言葉で話せているか。また、たとえ転職のきっかけがコロナ禍によるものだったとしても、前向きな気持ちに切り替え、この機会をチャンスと捉えてチャレンジングな姿勢を見せられるか。特に後者は、今の時代ならではのポイントだといえそうです。


「EC事業拡大やIT・DX化」「事業の多角化」2021年の展望

編集

新型コロナウイルスの収束は数年単位とも言われており、2021年も引き続き色んな形で影響は出てくると思われます。そんな厳しい時代を生き抜くため、アパレル・ファッション業界の各企業はどのようなことに注力しているのでしょうか?

河崎

多くの方が話されていると思いますが、一番はEC事業の拡大や、DX化への本格的な着手でしょう。コロナ禍を抜きにもその流れはありましたが、加速しているのを感じます。
短期的なところでは、オンライン接客やEC売上拡大に向けた体制拡大などが挙げられますが、中長期的な目線で、「今までのやり方が正しいのか?」を俯瞰で見直し、IT化する部分と、これまでのやり方を大切にする部分を明確化していく。そうした抜本的な変革に取り組んでいく企業が増えてくるでしょう。

編集

なるほど、その影響で採用ニーズも変化していきそうですね。

河崎

現時点でもすでに、デジタル領域の強化や内製化などに伴い、EC・Web系職種や社内SE、デジタルマーケティングなどの求人は増えています。今後はそれに加え、事業そのものをITの観点で俯瞰的に見直し、組織最適化・売上最大化に繋げられる、より経営層との距離が近いポジションのニーズが増えると感じています。

編集

なるほど、単なる事業マネジメントだけでなく、コンサルティングしていく力が必要とされる、ということですね。
そのほかの注力ポイントはいかがでしょうか?

河崎

先ほどお話した、コロナ禍でも打撃が少なかった6つの特徴の4つ目、「幅広いアイテムを扱っているがゆえにリスク分散ができた企業」にも繋がるのですが、サービスや商材の多角化、という動きが見られ始めています。
数年前から、幅広い商品を扱うライフスタイル型ショップや、飲食・アパレル・雑貨・宿泊を総合的に楽しめる複合施設など、『体験型』のサービスを行う企業が増えていますよね。デジタル・リアルを問わず、どのように顧客の体験を充実させていくか、という観点の事業改革・改善がさらに進み、そこからの採用ニーズが来年以降、生まれる可能性があると感じています。

編集

「『モノを売る』から『体験を売る』へ」の流れは以前からありましたが、それがさらに加速化するということでしょうか。

河崎

はい。アパレル以外の商材もコントロールできるMDや、お客さまの生活そのものをご提案する販売員など、より「ファッション」というものの定義が広がるのではないかと思います。
ただ、企業のそうした変化だけを捉えるのではなく、「この企業・ブランドは、誰に対して何を実現したいのか?」というアイデンティティを理解することが大切です。企業研究の際には必ずこの部分まで掘り下げ、ご自身の共感ポイント、貢献できる強みを明確にすることが大切です。

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そのような企業の動きを含め、2021年の求人トレンドとしてはどのように見込んでいますか?

河崎

IT化との関わりが深い「マーケティング」「EC」「生産管理」などのポジションは、企業のニーズが高まり、人材を採用する動きが活発化するでしょう。また、業績の核を担う商品を生み出す「デザイナー」も、フリーランス向けの業務委託求人を含め、ニーズはさらに増加するものと思われます。

詳細は別記事でもまとめていますので、ぜひ併せてご覧ください!

「アパレル・ファッション業界求人動向調査および2021年予測」

編集

最後に、そうした企業の動きと、それに連動した採用の動きに対する、転職活動の心構えについて、2021年の応援メッセージに代えてお願いします!

細野

基本に立ち返ることが大切で、改めて「will(将来像)」「can(今の強み)」「must(譲れないこと)」の整理をおすすめします。
仕事を通じて、どんなことを実現したいのか?(will)
何が強みで、何ができるのか?(can)
働く上で絶対に譲れないことは何か?(must)
「仕事の中で、どんなことをしているときにワクワクするだろう?」というところからスタートすると、考えやすいと思います。
ぜひ、ご自身に向けて、問いかけてみてください。

河崎

2020年を振り返り、2021年を考える上で最も重要なのは、やはり「変化」だと思います。
従来のやり方にこだわる部分と、柔軟に変えていく部分は何か?リアルが重要な部分と、システム・オンライン化で効率化できる部分は何か?日々の仕事の中で、今までの「当たり前」を常に問いかけ、変化に対応していくことで、きっとさまざまなチャレンジの機会が得られることでしょう。そこから得られたことを次にどう活かしていくか?を繰り返し考えていく、その姿勢こそが、転職活動においてもきっと「強み」になるはずです。
転職活動だから…ということではなく、ぜひ日々の仕事の中で変化することを意識してみてください。

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