アパレル企業特集

2008.08.15

株式会社マルニジャパン

マルニジャパン新社長に聞く 
新生マルニジャパン 成功の秘策とは?

テーマは"リ・ブランディング"

バスストップとの合弁を解消し、本国イタリアの100%出資子会社として2008年9月から再スタートを切ったマルニジャパン。その経営を担うのは、マルニが初めて日本に登場した際の仲介者であり、イタリア本国で同ブランドのコンサルタントも務めてきた前出政伸氏です。「何かを作り出すことが好き」と語る彼の手によって、"新生マルニジャパン"は今後どのように変化していくのでしょうか?新社長、前出政伸氏にお話を伺いました。

「アクセサリーを中心に据えたショップの展開、MDの再構築、専門店卸の拡大、雑誌媒体を活用してのリ・ブランディング…。これから私がやろうとしていることに、別段奇策はありません。そもそも、今の社会の状況下で何か策を弄したとしても、急激に売上が伸びるとは考えにくい。だからまずはやるべきことをきちんとやって、ブランドの土台となる力をつけていくことを第一としています。なかでもブランドイメージの浸透を含めたリ・ブランディングは重要なテーマ。それによって、以前からマルニを好きでいてくださる方はもちろん、マルニを知らない若い世代の方々にも『今のマルニはこんなにも素敵』ということを、再確認してほしいですね」

ロイヤルティの高いコアな顧客を抱えるマルニ。リ・ブランディングによって、マーケットに対してインパクトを与えると同時に、消費者の目を再度マルニへと集約することを目指します。


「フェアな差別」で社員のモチベーションアップ

ブランドとして新たなスタートを切るために、人材の確保も前出氏の掲げる戦略のひとつ。求める人物とは?

「ジェネラリストよりもスペシャリスト。半年先の売れ筋を見極める先見性があるとか、いるだけで周囲にパワーを与えるオーラのある人とか…スペシャルな部分は何でもいい。人間にしかできないことを強みとして持っている人や、周りにプラスのシナジーを与えてくれる人を歓迎したいですね」。

そして社員の評価には実力主義を徹底することで、頑張っている人、結果を残した人は、報酬のうえでもきちんと評価し、"フェアな差別"を行って社員のモチベーションをアップさせるのだそう。

「みんなが均等に昇給していく=平等、ではないと思うんです。努力に見合った評価がされないと、誰だってやる気が削がれてしまう。だから、報酬にはかなり差が出ることもありますが、その場合は万人が納得できる理由を持つために情報開示し、公明正大に。これは報酬面だけでなく、すべてに言えることです。役職の有無からくる上下関係というのは勿論あるけれど、仕事に関してはみんな平等。良い意味での競争心をもって互いに意見を戦わせつつ、ブランドそのものを強くしていきたい」。


自らの経験で築いた経営哲学、その先の夢

自らの経験で築いた経営哲学、その先の夢

気持ち良いほどに潔く物事をはっきりと言い切るその姿からは、自らの行動に自信を持ち、仕事に対してポジティブでアグレッシブなビジネスマンとしての姿が浮かび上がります。またこれまで手がけたビジネスの輝かしいキャリア、更にはマルニジャパン社長という今回の抜擢…まさに「やり手」と言う呼び名がふさわしいように見えますが?

「とんでもない!失敗は山ほど。何でもはっきり言わないと我慢できないので周囲を敵に回すこともありますし、好奇心が強いわりには飽きっぽく、その先に何か楽しいことが待っていないと長続きしないし(笑)。"フェアな差別"という発想も、自分が公平さに欠ける評価をされて不快な思いをした経験からきているもの。自信家に見えるかもしれませんが、根が小心者だから、同じ不満を社員に抱かせ、後ろ指を差されることが嫌なんです」。

過去の経験に学ぶことで、自分なりの経営手法を築いてきた前出氏。最後に会社というもののあり方について、彼自身の考えについて教えてくれました。

「会社という組織は、社員の面倒をずっと見てくれるわけではありません。だから社員たちには会社を利用して自分の力をどんどん高め、それぞれの夢を実現させていってほしいと思います。そのためのサポートだったら、私は決して惜しまない。私自身にもまだ叶えきれていない夢がありますし、それを実現させるための努力は続けています。そう、ビジネスという範疇では語れないその夢だけは、これからもずっと追い続けていきたいですね」。

今回、この方にお話を伺いました!

(株)マルニジャパン代表取締役社長

前出 政伸

前出 政伸/(株)マルニジャパン代表取締役社長

大学卒業後、アパレル会社に勤務。渡米し戦場カメラマンの手下となるが、その後はマーケティング関連の仕事に従事。87年に帰国後、BIGIグループに入社し、ZARAジャパン立ち上げに寄与。2004年3月トランスコンチネンツ代表取締役社長に就任。2008年9月よりマルニジャパン代表取締役に就任。好きな飲み物はココア。

MARNI/マルニ

MARNI/マルニ

マルニデザイナーであるコンスエロ・カスティリオーニは「FENDI」の皮部門を手がけるレザーメーカーの社長夫人で、1994年に「FENDI」を設立。1996年にはミラノコレクションに参加し、日本では1999年バスストップとの合弁でマルニジャパンを設立。2008年9月1日からバスストップとの合弁を解消し、100%出資で新たなスタートを切る。

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