Fashion★シゴトNEWS

2023.12.15

セールスエキスパートとして後進の育成に携わりながら、自身も成長し続けたい――トゥモローランド 丸の内店 廣田さんインタビュー<後編>

私たちクリーデンスは、アパレルをはじめとするファッション業界で販売員としてはたらく人が、これまで以上にやりがいをもってイキイキとはたらくことができる状態をつくるために「販売員価値向上プロジェクト」を立ち上げ、さまざまな取り組みを行っています。
今回は、丸の内接客ロールプレイングコンテスト優勝者、TOMORROWLAND(トゥモローランド)丸の内店 メンズマネージャー セールスエキスパートの廣田 周平さんにお話を伺いました。

この記事は後編です。前編はこちら

もくじ

ロールプレイグ大会出場は、自身の接客スキルを見つめ直す良い機会になった

廣田さんが2023年の丸の内接客ロールプレイングコンテストに出場された経緯をお聞かせください。

本当のことを言うと、立候補者がいなかったんです(笑)。
自分としてはスタッフのみんなに経験して欲しいというのが率直な気持ちですが、強制はしたくありません。
「頑張ってみたい」と思うタイミングはそれぞれなので、立候補者がいないときは自分が出て、興味を持ってもらえるよう、背中を見せたいなと思って出場しました。

本大会に出て良かったことはありますか?

たくさんあります。たとえば、日頃の接客でいかにお客さまのお話をくみ取り切れていないか、と気付かされたことです。
大会では、お客さまのご来店目的やニーズなど設定があり、接客後にフィードバックをもらえるので、「実はお客さまにはこんなニーズがあり、ストーリーを持っていた」といった答え合わせができます。
それによって自分がどこまでお客さまを理解し、適切なご提案ができていたかを振り返れるのはとても良い機会でした。

また、大会で用意される課題に取り組んだり、出場者などほかの方々の接客を見たりすることで、接客ニーズの変化や今のトレンドに気付けたのも良い経験でした。自身の接客について意見をもらえるのも、貴重なことだと思いました。

確かにほかの方の接客を見る事で自分の接客を見直す機会になりそうですね。廣田さんは販売職として非常にストイックな印象を受けましたが、どうしてでしょうか?

自分はずっとサッカーをやっていたのですが、大会に出るとなれば色んな準備を重ね、どんなに大変でも一瞬のきらめきにすべてをかけてきた、という経験をしてきました。

今の自身に置き換えると、日々の接客こそ販売員にとって「本番」のはずなのに、それに向けてあまり練習していないな、と気付いたんです。
ロープレって、新人のときや、大会出場のときくらいにしかやらないという方が多いんじゃないでしょうか?自分もそうなのですが、“プロの販売員”を名乗るのであれば、ロープレを「練習の一環」くらいの感覚で捉え、日常的に行ったほうが、販売員としての成長に繋がるのではないか、と考えるようになりました。
練習でできないことが、本番でできるわけがないとも思いますしね。


充実した社内の研修やセミナーを通じて、スキルの伝達やブランドの接客力を高めていきたい

販売に対するスタンスや行動力など、廣田さんがセールスエキスパートである理由が分かった気がします。それでは、ここからは改めてセールスエキスパートとしての役割期待・ミッションをお聞かせください。

自己の成長だけではなく、スキルの伝達やブランドの接客力を高める役割も担うポジションなので、社内セミナーで講師をしたり、ロープレの指導にあたったりしています。
たとえばトゥモローランドでは、”ウェル・ジェントルマンセミナー” という若手社員向けのセミナーがあります。私たちが扱うクロージングウエアを、自信をもってご提案するため、専門知識を学べます。

コロナ禍以降で本格的に行っており、2年目以降のドレススタッフを対象に全国から東京に集まって、丸一日かけて行います。それを3か月に1度くらいの頻度で行っています。
そのほか、新人研修や1年目研修なども、オブザーバーとして関わっています。

色々なことをされていらっしゃるのですね。成長のためのサポート体制が充実していて、基礎的な研修だけでなく、専門性を学ぶ機会があるのは、トゥモローランド社ならではかもしれませんね。店頭にいらっしゃる販売員の方の素敵な着こなしや所作、立ち居振る舞いが素敵なことも納得しました。”ウェル・ジェントルマンセミナー”について、もう少し詳しく聞かせてもらえますか?

大きくは3つあります。
まず、オーダーキャンペーンなどのイベントに向けて、商品企画の社員からデザインへの想いや生み出す背景を共有してもらう場があります。次に、生地など素材に関する詳しい理解を深め、オーダーの流れやオーダー時のシステムの操作方法などを学びます。最後は、実際にロープレを行い、お客さまへの対応レベルを高める時間を設けています。

丸一日かけての研修ということで、非常に充実した学びの場となっていますね。モノ作りへ妥協のない、拘りの詰まった商品を展開しているトゥモローランド社だからこそ、商品企画の方からお話を聞く機会は、また貴重な時間ですね。

そうですね。当社では、研修とセミナーを区別していて、まず“研修”は、当社の社員であればはマストで受けるものとして位置付けています。
一方の “セミナー” は、担当やカテゴリーで分けた、より専門性を磨く機会として設けています。社員ごとに受けるテーマや内容も異なり、たとえばメンズとウィメンズでは異なるセミナーが行われていたりします。

基礎を固める研修と専門性を磨くセミナーの両方あるのは、社員にとって刺激と学びのある、素敵な環境ですね。

ありがとうございます。
制度はどんどん良くなっていて、私が入社した時よりも、入社後のフォローやサポート環境が格段に充実していますね。


販売員は、買うことを通じてお客様の心の豊かさを満たし、納得感を高めるためのお手伝いができる仕事

あっという間の時間でしたが、最後に廣田さんにとって販売員としての価値とはどのようなものか聞かせてください。

単純に “服を買うこと” だけではなく、買うことを通じて心の豊かさを満たし、意味づけできるのが、販売員の仕事のやりがいであると思います。“ファッションを通じてお客様に喜びや夢を与え、心の豊かさを提供する”というトゥモローランドの企業理念そのものだと思っています。

また、本社職も経験したうえで、お客さまから直接の“ありがとう”を直に聞けるのは販売員だけだと再認識しました。本社でPCに向かい、数値とにらめっこする仕事では感じられなかった喜びだと改めて思います。

今回のインタビューを担当しました!

キャリアアドバイザー

荒井

荒井 慎也(あらい しんや)

新卒でセレクトショップに入社し、店長、エリアマネージャー、ブランドの販売指導や研修など、接客・販売にかかわるさまざまなポジションを経験したのち、クリーデンスのキャリアアドバイザーとして転職。
前職でのこれらの実体験を活かして、販売職の方を中心にサポートしながら、販売員のこれまで以上の価値向上を目指している。
詳細なプロフィールはこちら

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