アパレル企業特集

2020.12.23

株式会社サントラージュ

時代の波を乗り越え真摯にファッションと向き合い続けた
サントラージュが挑戦する“これからのものづくり”とは

109系ファッションブーム…ファストファッションブーム…さまざまな時代の変化に対応しながら、10年増収増益を続けるファッションOEM企業、サントラージュ。今回は代表取締役社長の小林 正幸さんにインタビューし、これまでの様々な困難をどう乗り越えてきたのか?今、そしてこれからの時代をどう捉え、変化しようとしているのか?変化の中心にあるIT化への取り組みとは?熱量たっぷりのお話を伺いました。

今回、この方にお話を伺いました!

代表取締役

小林 正幸さん

代表取締役 小林 正幸さん

祖母・父の影響でファッション業界へ興味を持ち、新卒で興和株式会社に入社。繊維部門で6年間就業する。その後、父の企業に入り東京支社を立ち上げ。2004年独立し株式会社サントラージュを設立し、代表取締役社長に就任。着実に取引先企業を拡大し、現在にいたる。

「やりきりたい思い」と「ものづくりやクライアントへの熱量」によって
多数のクライアントと信頼関係を構築し、成長に繋がった

まずはサントラージュについて、成り立ちとともにご紹介ください。

私たちサントラージュは、銀座にオフィスを構えるアパレルOEM企業です。

もともと私の家は、祖母・父ともに服にまつわる仕事をしていました。その影響を受けて私もこの世界に入り、まずは商社の繊維部門で6年働きました。その後、父の会社に入り、2002年に父の会社の東京事務所を設立したのですが、自分が東京でやっていた仕事が順調に大きくなり、スタッフも5人ほどまで増えたため、2004年に独立しました。

私はこの仕事を本当に夢のある仕事だと思っています。デザイナーさんの頭の中にある漠然としたイメージが2~3か月後に形になって、街中でその服を着ている人が歩いている、こんなワクワクすることはありません。
デザイナーさんは良い服を作り、その先のお客さまに喜んでもらおうという熱意を持っている。工場は工場で一生懸命良い商品を、納期を守って作っている。そういう熱量を持っている人と組んでやっていきたいという想いでこのサントラージュを立ち上げました。今もその根本の思いは変わりません。

起業して10年で90%以上の会社が倒産すると言われている中で、サントラージュは2021年で18年目を迎えます。この17年間、どのようなことがありましたか?

業界経験の長い人はご存知だと思いますが、時代の変化に伴って、ファッション業界もさまざまな波がありました。
事業スタート時の2002年はちょうど109系ブームで、時代を牽引する人気ブランドさんたちとのお仕事を多数させていただきました。振り返ると、サントラージュの成長は109系ブームの成長とともにあった、という印象です。「可愛い商品」を「きっちり納期にあげること」が重要で、大変でしたがすごくやりがいがありました。

具体的には、どんなやりがいでしたか?。

時代を象徴するファッションだったので、自分たちが作った商品が多数の雑誌に載ったり、芸能人の方が着用してテレビに出ていたりするのを見るのがすごく楽しかったです。そのワクワクした気持ちが原体験になっています。

その後、2008年秋のリーマンショックと、H&MやForever21などのファストファッションの台頭が重なり、109系ブームは落ち込んでいきました。衝撃的なロープライスと大量の品番数で展開するファストファッションには敵わず、当時メインクライアントだったお客さまが次々と苦戦し、サントラージュの売上も70%ほど減ってしまいました。

それをきっかけに、リスク分散のためクライアントを一気に拡げ、これまでお取引のなかったカジュアル系ブランドともお取引をスタートさせました。結果的に、その後多数のカジュアルブランドが全国的にヒットし、私たちも新たなブームに合わせて事業を拡大することができました。

そういう時代のトレンドを掴むクライアントと次々取引できる秘訣は何でしょうか?

いちばんは、「クライアントへの熱意」と、「やりきりたいという想い」です。 私たちは、これまでに知り合った方との関係をとても大事にしてきました。109系ブームが鈍化した後も、新たなブランドに移った方とこれまでの関係性の中で取引がスタートできたり、これまでのつながりで紹介していただいたり、助けてもらえる関係性を構築できていたことが大きいと思います。

そしてガッツ。(笑)とにかく折れない心がサントラージュの根底にあって、他の人が登れないと思っている山があっても、「登るしかない、自分たちならできる!」みたいなノリがあったり、売上をあげるために柔軟に舵を切ったりしてきました。

あとは、2000年代にいただいていた多くの依頼に対し、スピード感をもって対応できる体制を構築していたことで、新規の注文に対し、余力がある状態でスピーディーに対応できました。それによってお客さまとの信頼関係を構築でき、その後も一気に10数社ものお客さまとの取引がスタート。2011年以降は増収増益を続けています。

ひとつひとつのエピソードから、取引先企業と信頼関係が構築されているのを感じます!そのように積み上げて成長してきた2020年、コロナ禍をはじめ、さまざまな時代の変化とともに、ファッション業界はまた新たな局面を迎えています。サントラージュの今後の方向性を教えてください。

直近2年ほどでファッション業界は大きく変わってきました。たとえば2018年には、大手ラグジュアリーブランドが売れ残った商品を廃棄していたなど、業界として大量廃棄している問題が明るみになりましたよね。大量生産大量消費の時代から、サステナビリティが世界的にトレンドになり潮目が大きく変わったのです。

また業界内の勝ち組、負け組が明確になり、大手集中が生じている中で、サントラージュは近年、D2C業態のブランドとのお取引を数多くスタートしました。
ものづくりの実力を保ったり、トレンドの素材をキャッチしたりするためにも、大手アパレルメーカーとのお取引は非常に重要です。それに加えてD2C系の小規模ブランドのお客さまとのお取引を増やす方針は、会社としてやりたいことに繋がるだけでなく、経営リスクの軽減や、メンバーが活躍する場の拡大にも繋がっています。

いま、ようやく時代が戻ってきている感覚があります。「私のブランドを作りたい」という方がInstagramなどにたくさんいらっしゃいますから。

時代が戻ってきている、とは?

シンプルに「こんなモノを作りたい」という熱意を形にしていくということです。そして、その熱意を持った人や企業は、アパレル業界にとどまらず、非アパレル企業にも多くいます。

たとえば昨年、プロ野球球団のタオルを作らせていただいたのですが、担当者が熱意ある企画書を持って営業したことがきっかけで、お取引をスタートすることができました。ファッションにとどまらないメンバーの強み、たとえばスポーツやアニメに詳しいといった特徴が、ビジネスにとっての武器にもなり得る時代を感じています。今までなら考えられなかった活躍の仕方が、今後もどんどん増えてくるでしょう。


ものづくりや組織のIT化・DX化によって
大幅な業務効率の改善とサステナビリティを実現する

世の中のニーズの変化に伴い、非アパレル企業やD2C業態のブランドとの取引が増えているというお話がありました。それに伴い、サントラージュとして変化したこと、また変化しようとしていることはありますか?

もっとも顕著なのは会社全体のIT化及びDX化です。
その背景として感じているのは、お客さまの多様化に伴って、1品番あたりの数量の少ない小ロットの受注・生産が増えていることです。小ロットの受注・生産が増加すると、それに比例して扱う品番が増加するため、より多くのマンパワーが必要になります。私がこの業界に入った24年前と比べても、受注から納品までのプロセスは驚くほど変化がなく、まだまだマンパワーに頼った非効率な部分が多い状態です。
この課題を解決するためには、ITの力が必要だと強く感じています。

今まさに変革期にあると思いますが、IT化の事例があればひとつ教えてもらえますか?

韓国の会社が開発したアパレル製品向けの3Dモデリングソフト「CLO」の導入です。
パターン作成・パーツ作成・パーツ組み立てという洋服づくりの一連の流れをバーチャル上で実現することが可能で、その場で色や柄の大きさ、袖丈や着丈の長さを変更したり、服の素材を適用したりしてシミュレーションすることができるので、実際の服を作らなくても簡単にできあがりをイメージすることができます。

CLOの導入によってどのようなメリットが生まれているのでしょうか?

大きくは業務の効率化と、サステナビリティへの取り組みに繋がるという2点です。

たとえば半身で行うことが一般的なトワルチェックですが、CLOでは2Dパターンを取り込んで3D上で組み立てることができるため、両身でシルエット確認が行えます。素材や色、柄の大きさまでデータ上で調整し、生地の風合いまで反映した完成イメージ共有をサンプル作成前に行うことで、「思っていたものと違った」ということが減り、大幅な時間と労力を削減することができます。

また、アパレル業界でものづくりをしている方にとっては既知情報ですが、洋服ができあがるまでには多くのサンプル作成・修正を繰り返すことが珍しくありません。実際に店頭で販売されたり、人に着用されたりすることのない洋服が、確認のためだけにたくさん作成、廃棄されているのです。その点、CLOを用いれば、候補の色や柄のサンプルを全て作成しなくても、サンプル1色とCLO上のシミュレーションを組み合わせることで、実際にどの色を商品化するか決定することができるので、無駄なサンプル作成を削減することができます。 これは、工数・コストのみならず、サステナビリティの面でもメリットがあります。

「サステナブルであること」は、これからの時代のビジネスには欠かせない要素となっています。

はい。世界の大きな流れとして、サステナビリティへの意識が強い海外の国では、3Dモデリングソフトの活用が進んでいます。私たちも現段階では、キャリーケースにたくさんのサンプルを詰め込んで取引先企業と商談をしていますが、近い将来はノートパソコンやタブレット1台で完結する時代が来るかもしれません。

CLOについてはあくまで一例ですが、ほかにもECサイトの立ち上げや採用・人事面など、さまざまな側面でIT化/DX化を早急に進めています。もちろん、何でもかんでもデジタル化すれば良いというわけではありませんが、人を手の良さと、最新技術の良さをうまく掛け合わせることで、より良いものづくり、組織を目指していきたいと考えています。


従来のマーケットのお客様に限らず、
世の中のニーズを掴み、そのニーズにいかに応えていくか

小林社長のファッションに対する真摯な思いがとても伝わりました!そしてそのために「変わらなければいけない」ということも。

昨今のファッション業界の市場規模は縮小傾向にあります。それによって、業界内の勝ち組、負け組は明確になり、大手集中が生じるなど、競争が激化しています。業界の厳しさを感じ、ファッション業界へのチャレンジを諦める方、他業界へと転職する方もいらっしゃるでしょう。

しかし、縮小傾向とはいえ、9兆円の市場規模を持つ業界。私たちとって衣服は、生活の基本的な要件である「衣食住」の1番目を担う、なくてはならないものです。 SNSの発展によりインフルエンサーの方が自身のブランドをプロデュースする…一般の方がハンドメイドの販売を行ったりする…従来のマーケットのお客様に限らず、世の中のニーズを掴み、そのニーズにいかに応えていくか。それが私たちファッション業界の企業には求められています。

これからのファッション業界を見据えてサントラージュが成長していくため、どんなメンバーを求めているか、最後のメッセージとしていただけますか?

私たちサントラージュは地に足をつけてモノをひとつひとつ生み出していく会社です。そこにITを活用して様々なサービス展開や仕組化を進め、会社を成長させてきたいと思っています。
そのためには、メンバーひとりひとりが最適な場所で輝けるような環境を作っていかなければなりません。組織づくり、経営企画、ものづくりのDX化など、ファッションを深く知る人と同じくらい、ファッション業界以外の角度からの新しいアイデアも必要としています。

より多くのお客さまの夢を形にしていきたいという想いを持って、会社そしてファッション業界の新たな未来を一緒に作ってくれる方からのご応募をお待ちしております!

株式会社サントラージュ

株式会社サントラージュ

事業内容 繊維製品 企画・生産・輸入、OEM 生産
事業所 東京都中央区銀座2-16-12銀座大塚ビル6F
設立 2004年2月
代表者 代表取締役社長 小林 正幸
従業員数 49名(2020年12月現在)
資本金 5000万円
 

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