アパレル企業特集

2015.12.16

mizuiro ind(Mother’s Industry株式会社)

関わる全ての人々が幸せになれるブランドへ

オリジナルブランド「mizuiro ind」やセレクトショップ「MARcourt」などを運営、独自の商品コンセプトで幅広い世代から支持されているMother’s Industry(マザーズインダストリー)。ブランドをスタートさせた大阪だけでなく、東京にもショールームを構え、世界市場を視野に躍進中の同社を掘り下げるべく、代表取締役の笹野さんにお話を伺いました。

デザイナー川原みな子の想いが100%詰まった「mizuiro ind」への自信が
すべてのベース

デザイナー川原みな子の想いが100%詰まった「mizuiro ind」への自信がすべてのベース

マザーズインダストリーを立ち上げたきっかけをお聞かせください。

もともと独立志向のあった僕が誘う形で、同僚だったデザイナーの川原みな子と一緒に立ち上げたのがこのマザーズインダストリーです。ガレージを改装してお店とアトリエを作って、いわゆるガレージメーカーとしてのスタートで、2004年に当社のオリジナルブランド「mizuiro ind(ミズイロインド)」が誕生しました。

洋服を作って売るまでのすべてを二人で手掛けいていたので、全ての結果が自分たちの責任になるというプレッシャーを感じる毎日でした。生みの苦しみからくる意見のぶつかりあい、というと格好いいですが、喧嘩もよくしましたね(笑)。

それでも、自分たちのこだわりを100%形にできる環境というのはやはり格別なものでしたし、他のどんなブランドにもない、川原だけが生み出せる思いのこもった商品が出来上がっていくのを見ると、「必ずこの洋服を求めてくれる人がいる」という自信に繋がっていきました。

その後は大阪のファッションビルに1号店をオープンしますね。

店頭に立って川原と一緒に接客をしながら営業を重ね、南堀江の路面店に次いで、やっとの思いで大阪のなんばCITYという駅ビルにオープンするチャンスをいただきました。
商品への自信に加え、これまでの経験で「こうすれば売れるだろう」という一定の見込みはあったのですが、これがまったく売れなかった。毎日必死で頑張るんですけど全然結果に繋がらず、難波から道頓堀川を歩いてアトリエに帰る道がまたつらくてつらくて。今でもそのあたりに行くと思い出すほどですね。

そんなある日、お店に商品を運ぼうとした川原が怪我をしたんです。ブランドの核となるデザイナーを怪我させてしまって何をやっているのか…と、どん底まで落ち込みましたね。今思うと、結果的にそれがもう一段回奮い立つきっかけになったのかもしれません。その半年後くらいから数字がついてくるようになってきました。

どん底を経験してから上昇していくまでの原動力は何だったんでしょうか?

先ほども少しお話したとおり、やはり自分たちの作る洋服を求めてくれる人が絶対いる、その人たちに届けたい、そこだけは絶対的な自信があったので、なんとかやってこれたというのはあります。
365日24時間、ずっと洋服のことだけを考え続けて手を動かし続ける川原と、その思いをどうやってお客さまの手に渡せるかという僕の思い、それは信念として持っていました。


一人ひとりが思い描く「すべての人が知っているブランド」の姿とは

一人ひとりが思い描く「すべての人が知っているブランド」の姿とは

川原さんの生み出す洋服は、あたたかみを感じながらスタイリッシュでもあり、という不思議な魅力がありますね。

はい。川原の生み出す洋服はトレンドだけでもなく、着心地だけでもない。シルエットと素材の組み合わせや、着心地が良くてかっこよく見えるデザインは、長年一緒に仕事をしていても本当に独特の魅力を感じます。

一体何にインスピレーションを受けているのだろう、とずっと疑問に感じていて、最新のコレクションなのか?好みの世界観があるのか?一度聞いてみたことがあるんです。すると「お客さまがショップスタッフと向き合って、自分の洋服を通じて笑顔で話をしている瞬間、瞬間を思い描いてひとつずつ考えている。」という回答が返ってきたんです。

ブランドの軸となるデザイナーの川原さんがお客さまだけでなく、スタッフの笑顔のことを大切に思ってクリエイションするって、素敵な関係性ですね。

ショップスタッフはデザイナーとお客さまの橋渡しをするという非常に重要な役割を担っていますので、会社としてショップスタッフが笑顔で働けるような組織づくりをしていくのは当然のことです。
しかし、デザインとしてのこだわりよりももっと手前の部分で、「お客さまとスタッフの笑顔がものづくりのイマジネーションになっている」と言えるデザイナーがどれだけいるでしょうか。この話を聞いたとき、正直なところ「自分小っちゃいな、これは適わないな」と思いました。

ショップにお伺いすると、スタッフのみなさん本当に気持ちの良い笑顔で迎えてくださいます。川原さんのその思いが、スタッフのみなさんにもしっかり根付いているのですね。

ありがとうございます。川原の「ファッションで人を笑顔にしたい」という思いは、「全ての人が知っているブランドになる」という当社のビジョンに繋がっています。

実はこのビジョン、漠然としていて少し分かりづらいのでは、という声もあったのですが、僕はそれでいいと思っていて。たとえば『全ての人』がどこまで指すか、というのはスタッフによって違うはずで、たとえばそれが家族だったり、近所の人や友達だったり、見知らぬ誰かだったり、海外の人々だったり…でも、「笑顔にしたい」「ブランドの魅力を伝えていきたい」という思いがあれば、そこは多少違ってもいいいうのが当社の考えです。

ビジョンについてお互いに話すような機会があるのでしょうか?

 

時々ですが、スタッフが集まるタイミングで、会社のビジョンに対するそれぞれの思いについて、「ここのセンテンスはどう感じる?」「私はここをこう捉えている」とディスカッションする場は設けています。少しずつ違う個性が見えて興味深く、どの意見も「なるほどな」って思いながら受け止めています。

たとえばあるスタッフは「川原さんの作る洋服を一人でも多くの人に届けたいんです。それだけなんです。」という思いを持っていたり、あるスタッフは「会社が永久存続するなら、いつかは絶対にすべての人が知っているブランドになるはずです。」と僕に話してきたり。その一つひとつが合っている、間違っているということではなく、そこで話し合うことで考えが可視化され、自分の働き方に自信を持つことで、またそれに向かって明日から頑張ることが大切だと考えています。


マザーズインダストリーに関わる全ての人々が幸せになれるように

マザーズインダストリーに関わる全ての人々が幸せになれるように

様々な考え方や思いを持つスタッフの方々がいらっしゃいますが、共通する部分はありますか?それがシンプルに「マザーズインダストリーらしさ」になるのかなと。

一言でいうとポジティブなスタッフが多いです。単に元気で明るく!ということではなく、一見物静かでも前向きに物事を考えられる人。

お客さまに笑顔を届け、一人でも多くの方に当社の商品を知っていただくためには、スタッフが日々成長していかなければなりません。その中では厳しい状況を乗り越えないといけないこともありますし、無謀とも思えるチャレンジの場もあります。上司に怒られることもあるでしょうし、失敗することも必ずあります。そんなときにもへこたれず、しっかり成長の糸口をつかめるような人が当社では活躍しています。

キャリアパスについてお聞かせください。

ショップスタッフに関しては、マネジメントから経営まで携わることができるキャリアパスを設けています。何段階かあって、その都度研修を受けてステップアップしていくようなものです。もうひとつ考えているのが、現場のプロとしてスペシャリストを目指すスタイリストというキャリアパスで、こちらも並行して導入していきたいと考えています。

川原さんとプロダクトチームのみなさんとの関係性はどのような感じでしょうか?

現在、プロダクトチームは7名いて、デザインとパターンと生産を行っています。採用も川原自身が行っているのですが、どのメンバーも川原が表現したいこと、作りたいものを一緒に作り上げようという思いがとても強く、結束力があります。新卒も2名入社したので、みんなで育てていこうという思いもまた一体感を生んでいます。
ものづくりに関しては本当にシビアですので、厳しいことも多々あると思いますが、川原の思いに共感し、一緒に実現していきたいという思いでついていくことができれば、どこにも負けないスキルと経験を積むことができると思います。

マザーズインダストリーに関わる全ての人々が幸せになれるように

マザーズインダストリーらしい、笑顔にあふれる芯の強い組織を作っていくためのサポート制度などがありましたらお聞かせください。

みんなで稼いだお金をどう還元していくかという時、一般的な評価制度、シンプルに言えば頑張って結果を出すと給料が上がるという仕組みも大切ですが、女性の多い当社においてはそれだけではないと考えています。

よく人事と話している理想の形というのが、保険やライフスタイル、仕事の向き合い方、成長のビジョンなどもスタッフごとに決めていけるようなシステムを作れたらいいなと。一人ひとりしっかりヒアリングをして価値観を把握し、できるだけそれが適えられるような。会社に生き方を合わせるのではなく、できるだけ会社がフレキシブルにサポートしていくそうすることで無理なく長く活躍することができますし、それが会社の成長にもつながると考えています。

マザーズインダストリーに関わる全ての人々が幸せになれる、そんな組織にしていきたいですね。

 

mizuiro ind(Mother’s Industry株式会社)

mizuiro ind(Mother’s Industry株式会社)

事業内容 オリジナルファッション製品のデザイン・製造・販売/インポートファッション製品の小売り・卸売/アパレルショップの運営
事業所 本社:大阪府大阪市西区北堀江1-12-10
設立 2003年
代表者 代表取締役 笹野信明
従業員数 110名(2015年12月現在)
資本金 1000万円

 

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