Fashion★シゴトNEWS

2020.11.06

アパレル・ファッション業界の「転職活動状況」を調査 平均転職活動期間が前年+0.9カ月と長期化するなか、ニーズが高い「EC関連職種」は短縮傾向

アパレル・ファッション業界の「転職活動状況」を調査しましたので、結果をお知らせいたします。
本調査は、2019年7月〜9月、2020年7月~9月の期間に転職した方のデータをもとに算出したものです。


概況

調査トピックス

平均転職活動期間

  • ◆新型コロナウイルスの影響で、前年と比較して+0.9カ月
  • ◆「EC・通販関連」は、企業のニーズが高まったことで-2.0カ月と大幅に短縮

平均応募社数

  • ◆前年と比較して+0.1社とほぼ変化なし
  • ◆大きな変化があった職種は、「生産管理」(-2.1社)と「EC・通販関連」(+2.9社)

全体解説

新型コロナウイルスの流行によって先が見えづらい状況であったことや、売り手市場から買い手市場に一転したことを背景に、採用活動を慎重に行う企業が増加しました。そのため、平均転職活動期間は前年より長くなったと考えられます。また、転職希望者は転職先を早く決めるために複数の求人に応募したいと考える一方で、求人数は前年と比較して減少(※)したため、平均応募社数はほぼ変化なしという結果になりました。

しかし現在は、企業の採用計画の見通しが立ち始めたことや転職においてもオンライン選考が一般化したことにより、選考期間は新型コロナウイルス流行以前の状況へと戻りつつあります。一方、転職希望者の動きは、厳しい状況を受け内定を得たらすぐに受諾するケースと、求人数が回復しつつあることを背景に慎重に転職先を選ぶケースで二極化する傾向が強まっています。

また、今後アパレル・ファッション業界全体でEC化率の向上が見込まれることや、各社が軒並みECに注力していることを踏まえ、“EC関連職種”に挑戦したいという意向を持つ転職希望者が増加しています。特に「DtoC」の関連職種は、ブランドカラーや独自性を出せることから転職希望者からの人気が高まっています。

※参考:アパレル・ファッション業界の「求人動向」(パーソルキャリア株式会社のウェブサイトが開きます)

今後の予測

今後多くの企業は、ファッションとテクノロジーを掛け合わせた「ファッションテック」に携わる職種や、売上の基盤をつくる「MD」の採用をより一層強化すると考えられます。また、ラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドにおいては「店長・販売」の採用活動を再開させる傾向があり、転職活動においても、これらの職種は比較的スムーズに選考が進むと想定されます。この先、求人数は業界や職種によって回復スピードに差がでると予想されます。そのため、職種による転職活動期間や応募社数の開きは、より顕著になると言えるでしょう。(クリーデンス 事業責任者 河崎 達哉)


転職成功者の平均転職活動期間

新型コロナウイルスにより、ニーズが高まった「EC・通販関連」は活動期間が-2.0カ月と大幅に短縮

2020年7~9月の平均転職活動期間は、前年同月比+0.9カ月でした。ほとんどの職種で転職活動期間が長期化している一方で、「プレス・販売促進」「生産管理」「EC・通販関連」の3職種は短縮しました。

ECやソーシャル・コマースに注力するために、デジタルマーケティングやデジタル戦略を担う「販売促進」のポジションを強化する企業が増加しました。さらに、デジタルに関わる領域は、採用活動における優先度合いが高く、選考をスピーディーに進める企業が多かったため「プレス・販売促進」の平均転職活動期間は、前年同月比で-0.9カ月となりました。

「生産管理」は、2019年以前より求人数が減少しており、それに伴い、転職活動期間も長期化する傾向にありました。2020年も新型コロナウイルスの影響を受け、多くの企業が「生産管理」の採用を縮小しました。そんな中、7月以降は、今後の事業を見越して新商品の製作を強化する動きが強まったため、製品を内製する企業では、即戦力となる「生産管理」の人材を求める声が高まりました。その結果、選考のスピードが上がり、転職活動期間が短縮されたと考えられます。

平均転職活動期間が前年同月比で-2.0カ月と最も短縮された職種は、「EC・通販関連」でした。新型コロナウイルスの影響により、消費者の購買行動が実店舗からECへと急速に変化したことで、アパレル・ファッション業界全体でECの重要性が一層高まっています。更なるEC化率の向上や業績の立て直しのために、即戦力となる人材をすぐに採用したいという意向の企業が増加し、転職活動期間は大幅に短縮されました。

反対に、平均転職活動期間が最も長期化した職種は「MD・バイヤー」で、前年同月比は+1.1カ月でした。「MD・バイヤー」は、ブランドの業績を左右するポジションであることから、企業は慎重に採用活動を行う傾向にあります。加えて、新型コロナウイルスの影響によって、ECに特化した「MD」「バイヤー」を採用したいという企業が多かったため、求められるスキルや知識が高まり、選考に時間がかかったと言えるでしょう。

また、アパレル・ファッション業界において就業人口の大半を占める「店長・販売」は、前年同月比+0.8カ月でした。新型コロナウイルスの流行により、EC化率が向上しているからこそ、直接顧客と接する販売スタッフの価値を重要視する企業が多く、「店長・販売」の採用難易度は上昇しています。そのため、マネジメントスキルやSNS活用によって売上に貢献できるなど、+αのスキルを企業が求めているケースが多く、転職活動期間は長期化しました。


転職成功者の平均応募社数

全体で前年比+0.1社とほぼ変化がないなか、「EC・通販関連」は求人数の増加に伴い+2.9社と大幅増加

2020年7~9月の平均応募社数は、前年同月比+0.1社で前年とほぼ同様の結果となりました。その中でも、2社以上の増減があった職種は「生産管理」と「EC・通販関連」でした。

多くの企業は、「生産管理」のみを行うポジションが少なく、「企画」や「営業」と兼務するケースが増えています。そのため、「生産管理」のみを希望する転職希望者が応募できる求人数も減少傾向にあり、平均応募社数は前年同月比-2.1社になったと考えられます。

一方、「EC・通販関連」は、新型コロナウイルスの流行前より求人数が増加した唯一の職種です。また、新型コロナウイルスの流行を受け、企業のEC領域に対する重要性や注力度合いが高まったように、アパレル・ファッション業界で働く人のEC関連職種に対する興味や関心も高まりました。このように、求人数が増加したことに加え、転職希望者が「EC・通販関連」の職に就くために、多くの求人に応募したことにより、平均応募社数は、前年同月比+2.9社と大幅に増加したと考えられます。

「店長・販売」は、前年同月比-0.4社と微減しました。これは、新型コロナウイルスの流行によって求人数が減少したことが要因として挙げられます。さらに、「店長・販売」のなかでもスキルや経験が必要となる、「店長」「エリアマネージャー」などのマネジメント人材を求める企業が増加しました。そのため、転職希望者が複数の求人に応募したくても応募条件に満たないケースもあり、平均応募社数が微減する結果となりました。


調査概要

■調査期間:2019年7月〜9月、2020年7月~9月
■対象・調査方法:「クリーデンス」を利用して転職成功した方のデータをもとに算出

解説者プロフィール

クリーデンス 事業責任者 河崎 達哉(かわさき たつや)

1984年、兵庫県生まれ。
2008年、株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)入社。
キャリアアドバイザーとして、IT・ウェブ領域や金融、医療を担当。
また、さまざまな業界のハイクラス層の転職も支援。
これまでに支援した転職希望者は、1,500名を超える。
キャリアアドバイザー部門のゼネラルマネジャーを経て、
2019年4月からは「クリーデンス」の事業責任者として、
アパレル・ファッション領域の人材サービスをけん引している。

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