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2019.10.31

パタンナーの転職マーケット座談会<アパレル・ファッション業界>2019最新版~第1回:最近のパタンナーの転職マーケットは?

転職活動において重要なのは、マーケットを捉えてそれに合わせてしっかりと準備すること。
そこで、パタンナーのみなさんに向けた、最新の転職マーケットについて全3回でお届けします。
今回は、アパレル業界出身でパタンナーのサポートに強いキャリアアドバイザーによる座談会形式で、企業のホンネに迫ります!

今回話を聞いたキャリアアドバイザーはこちら

キャリアアドバイザー<米国CCE公認 GCDFキャリアカウンセラー>

丸山

大学、ファッション系専門学校卒業後、株式会社ニコルへ入社。レディース・メンズMDを経験した後、企画室マネージャーとして新規ブランドの開発やライセンスの管理に携わる。2004年にクリーデンスへ入社後はキャリアアドバイザーとして企画系専門職を中心にこれまで600名以上の転職をサポート。詳細プロフィールはこちら

キャリアアドバイザー<米国CCE公認 GCDFキャリアカウンセラー>

大堀

1社目はアパレルでMD、デザイナー、パタンナーと連携し営業を5年。その後クリーデンスに入社し、営業を1年、キャリアアドバイザーとの兼務が半年、キャリアアドバイザー専任11年で現在に至る。詳細プロフィールはこちら

キャリアアドバイザー

島根

大卒後、新卒でセレクトショップ運営企業で勤務。その後、アパレル業界特化型エージェント、ライフスタイル提案企業の人事を経て、アパレル業界の活性化を志しクリーデンスへ入社。現在はキャリアアドバイザーとして、主にディレクター・MD・デザイナー・パタンナー・生産管理など川上職を中心に転職をサポート。詳細プロフィールはこちら


第1回:最近のパタンナーの転職マーケットは?

まずは、最近のパタンナー求人における転職マーケットについてお聞かせください。

島根:パタンナーの求人は多くなく、数年前から右肩下がりを続けています。傾向にもやや変化があり、以前は百貨店系アパレル企業の求人が多かったのですが、直近では小売系企業における内製パタンナーや、外注パタンナーの管理ポジションが増えています。

アパレル企業のパタンナー求人が減っている背景は何でしょうか?

島根:やはり、百貨店アパレルブランドの売上が厳しいことは影響していると思います。企業の状態とパタンナーの採用は、割と比例しているイメージです。

では、小売系企業におけるパタンナー求人が増えているどのような背景は何でしょうか?

島根:大きくは2点あり、ひとつは他ブランドとの差別化です。もともと小売系企業はものづくりの土台がなく、オリジナルブランドを立ち上げる際にはOEM企業への外注に頼らざるを得ませんでした。ところが、どのブランドも同じようなOEM企業に外注するため、「ブランドのタグが違うだけでモノは同じ」、つまりブランドの同質化が起こりました。そこから脱却するため、ものづくりを内製化し、他ブランドとの差別化・オリジナル化を図ろうというのが近年の流れです。
もうひとつは、売上が厳しい中、内製化することでコストを削減するねらいがあります。

外注パタンナー管理という仕事があるということは、外注もしているのですよね?

島根:はい。ボリュームを考えるとすべて内製では回らないので、外注と併用している企業がほとんどだと思います。ご自身でパターンを引きながら外注コントロールをする形が多いです。

具体的には何をコントロールをしているのですか?

島根:クオリティコントロールはもちろんのこと、先ほどお話したような他ブランドと差別化を図るためのコントロールもあります。また、100%パターンを外注していたことで、サイズが標準化されていなかった企業は、自社でパタンナーを置くことでマスターパターンを構築し、それをもとに外注に依頼するという改善もされています。

では次に、求職者の方の動きを教えてください。

大堀:求人同様、求職者の動きも少ないです。
パタンナーに関しては特に、もっとも転職市場に多いと言われている20代後半~30代前半の動きが少ない印象です。

丸山:個人的には、近年は若手の方とお会いするケースが多いですね。まだオールアイテムは手掛けられないがアイテムの幅を広げたい、ミセスからデザイナーズへと商材を変えたい、といったご希望の方が多いです。

島根:僕は時短希望のベテランの方とお会いするケースが増えています。現職では時短勤務と言いつつも残業が多く、家庭との両立が難しい、時短で働ける環境はないか、というご相談が多いです。

丸山:若手の方は、スキルアップしたい、キャリアアップしたいとご相談いただく割合が他職種と比べて多い気がします。30代になるとライフイベントに伴って働く環境を見直したい、年収を上げたいという条件面が軸になる方が増え、40代以上は、それらに加えて現職の業績不振など、外部要因も増えてきます。

20代後半~30代前半の求職者が少ないとのことですが、その年代のパタンナーはあまり転職を考えていない、ということなのでしょうか?

大堀:パタンナーは軽衣料からキャリアを積んで重衣料を手掛けるなど、徐々に成長していくポジションなので、一社でオールアイテムを経験してから転職するとなると、自然と30代後半までずっと一社経験、という方が多いのではないかと思います。また、デザイナーなど他の職種と比べると保守的な方が多く、職種特性としてそもそも転職を考える方が少ない気がします。

OEMや商社の場合も同様ですか?

大堀:OEMパタンナーの場合は、ブランドで働きたい、商材を変えたいという理由で転職を考える方もいらっしゃいますね。

求人と求職者の数のバランスで言うと、転職のしやすさはいかがですか?

島根:少ない求人に対して求職者がさらに少ないので、一定の経験・スキルを持ったパタンナーは転職に成功する方が多いです。もちろん、「企業と合うかどうか」など、スキル以外のマッチングも重要なので、どこでも決まるというわけではありませんが、他職種と比べると転職しやすいマーケット感ではないかと思います。


第2回は、パタンナーの採用において重視されるポイントについてご紹介します!

第1回:最近のパタンナーの転職マーケットは?
第2回:パタンナーの採用において重視されるポイントは?
第3回:書類や実技試験で気を付けるべきことは?

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