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2019.06.03

MDの転職マーケット座談会<アパレル・ファッション業界>2019最新版~第1回:今、どんなMDが求められているのか?~

転職活動において重要なのは、マーケットを捉えてそれに合わせてしっかりと準備すること。
そこで、MDのみなさんに向けた、最新の転職マーケットについて全3回でお届けします。
今回はMD経験者と、アパレル業界出身でMD職のサポートに強いキャリアアドバイザーによる座談会形式で、企業のホンネに迫ります!

今回話を聞いたキャリアアドバイザーはこちら

キャリアアドバイザー<米国CCE公認 GCDFキャリアカウンセラー>

丸山

大学、ファッション系専門学校卒業後、株式会社ニコルへ入社。レディース・メンズMDを経験した後、企画室マネージャーとして新規ブランドの開発やライセンスの管理に携わる。2004年にクリーデンスへ入社後はキャリアアドバイザーとして企画系専門職を中心にこれまで600名以上の転職をサポート。詳細プロフィールはこちら

キャリアアドバイザー

島根

大卒後、新卒でセレクトショップ運営企業で勤務。その後、アパレル業界特化型エージェント、ライフスタイル提案企業の人事を経て、アパレル業界の活性化を志しクリーデンスへ入社。現在はキャリアアドバイザーとして、主にディレクター・MD・デザイナー・パタンナー・生産管理など川上職を中心に転職をサポート。詳細プロフィールはこちら


第1回:今、どんなMDが求められているのか?

ではまず、最近のMDの求人事情について伺います。一般的には売り手市場と言われていますが、MDの求人の動きはいかがでしょうか?

丸山:MDは枠も従事者も少ない職種なので、求人数も、クリーデンスを利用して転職を希望する方の数も、近年大きな変化はありません。MDは他の職種と比べて、頻繁に転職を繰り返すケースが稀なので、そういう意味でも一般的な転職マーケットなどに影響されることはあまりない印象です。

MDの方が転職を考える理由はどんなものが多いでしょうか?

島根:直近1年の転職理由ベスト3、島根調べをご紹介します。
まず3位は、労働条件を良くしたい。これはどの職種でもよくある理由です。2位は、会社の将来性が不安。単に業績だけではなく、会社の方向性や体制・考え方・環境などが旧態依然としているといったものも含まれ、大手アパレルの方に比較的多い理由です。そして1位は、業態やカテゴリーを変更したい。ファッション×ITにチャレンジしたい、アパレルからライフスタイル全般を提案したい、などは最近特に多いですね。
その他、数値系MDから商品系MDにチェンジしたい、副業を見越して業務委託契約で仕事がしたい、といったご相談もいただいています。

なるほど。特に2位と1位は、現職での仕事とマーケットとの乖離に悩んでいる様子が伺えますね。

島根:そうなんです。アパレルのみで戦っていくことが厳しい昨今、外から見て元気良く見えているブランドは、ライフスタイルまで手を広げたり、ITと連動した仕掛けを強化したり、就業環境を改善したりと、新しい取り組みや変化に対して貪欲です。そう考えると、転職理由ベスト3はどれもリンクし合っていますね。

丸山:MDは職業柄、先を見る力が高く、ファッション業界全体にはびこる閉塞感に敏感になっています。そのため、ベンチャー気質でチャレンジングな企業へ、となるのだと思います。そういう意味で、まったく同じ業態でキャリアアップしたい、と転職を目指す人はほとんどいません。

「業態やカテゴリーを変更したい」がMDの転職理由1位とのことですが、現在、求人が多い業態はどういうものでしょうか?

丸山:今はEC求人が多いですね。ファッション業界全体の中でEC売上が好調なためでしょう。各社厳しい業績の中で、利益の上がりやすいECを強化したい、EC化率を上げたいという背景があり、MD求人におけるEC求人の占める割合が上がっている印象です。

求職者もやはりECを目指したい方が多いですか?

丸山:明確なキャリアビジョンやスキルアップのイメージを持って目指している方もいらっしゃいますが、その一方で、「リアル店舗展開が頭打ちの中、ECだったら売れるんじゃないか」「調子の良いところに行きたい」「経歴を活かして何か新しいことがしたい」というやや漠然とした状態でご相談にいらっしゃる方も多いですね。
そういう求職者の方には、求人傾向などと併せてEC求人をご紹介すると、興味を持っていただくケースが多いです。

ECや小売、アパレルなどそれぞれの業態において、求められているMDはどんな人でしょうか。まず求職者からの注目度も高いECについてお願いします。

丸山:マーケティング要素の強いMDです。イベント企画やプロモーションなど、普通のアパレルであればマーケティング・販促の専門チームが行うような業務も、ECではMDが手掛けるケースが多いです。これらの経験と実績があれば評価が上がりやすいです。

セレクトショップやSPAなどの小売はいかがでしょうか?

島根:数字に強い人です。販売計画を立て、在庫コントロールして、しっかり売り切ることができるMDが評価されます。

アパレルの場合はいかがでしょうか?

島根:生産を含めた商品、つまりものづくりの経験・スキルです。近年は売上不振から数字に強いMDを求める企業が増えてきましたが、先日あったケースで、「数字に強いMDが欲しい」という大手アパレル企業からのリクエストで小売出身MDの方をご紹介したところ、「素材の理解が足りない」という理由でお見送りになってしまいました。よくよく伺ってみると、やはりアパレル企業なので、商品系の知識は一定レベル必要だったのです。

丸山:今の例のように、経験・スキルがクロスオーバーして求められることも増えてきましたね。小売において数値に強いことがベースではありますが、オリジナル商品も強化したいので商品よりの経験・スキルを持ったMDが欲しい、アパレルで王道のMDでは厳しいので数値にも強いMDが欲しい、といった具合です。

それ「だけ」できれば良いというものではなく、基本的には数値も商品も備えた上で、業態や企業によって「より○○に強い人」というリクエストになるのですね。

丸山:そのとおりです。自社にないスキルを求める場合でも、前提として自社にあるべきスキルは持っていて欲しいというのが企業のホンネです。
また、「転職市場で求められるMD」という観点で言うと、売上に苦戦している企業が多いため、業種問わず数字に強いMDのニーズが高い傾向にあります。ですので、現時点で「数字が弱いな」と感じている方は、その経験が積める環境に身を置いてみることをおすすめします。


第2回は、MDの採用において重視されるポイントについてご紹介します!

第1回:今、どんなMDが求められているのか?
第2回:MDの採用において重視されるポイントは?
第3回:MDのキャリアパスとは?

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