採用をお考えの企業様へ

2018.07.10

セミナー「最新トレンドや活用事例から学ぶ、いま知っておくべき<HR Tech>」レポート(第13回クリーデンス法人向けイベント)

人事においてもテクノロジー領域の取り組みが進みつつある現在。AIの進化にともなって、その可能性はさらに広がりつつあります。
そこでクリーデンスでは2月26日、各企業の人事担当者の皆さまからも非常に注目度の高い「HR Tech(Human Resource×Technology)」をテーマに、セミナーを開催いたしました。

簡単にではありますが、順を追ってその内容をレポートいたします。


第1部:HR Techとは - 最新動向と活用事例

登壇:加藤 丈幸 氏(PERSOL INNOVATION FUND合同会社)
※PERSOL INNOVATION FUND合同会社は、クリーデンスを運営するパーソルキャリア株式会社と同じパーソルグループの企業で、ベンチャーキャピタル事業を手掛けています。

第1部:HR Techとは - 最新動向と活用事例/登壇:加藤 丈幸 氏(PERSOL INNOVATION FUND合同会社)

三大トレンド<ピープルアナリティクス><エンゲージメント><ギグ・エコノミー>

人事管理や給与計算などのいわゆる人事向けシステムをはじめ、組織成長を支援するサーベイ・教育・コミュニケーションのためのツールなど、様々なサービス・テクノロジーが含まれる「HR Tech」。
その中で現在のトレンドと言われているのが、<ピープルアナリティクス><エンゲージメント><ギグ・エコノミー>という3つのワードです。

ピープルアナリティクス

<ピープルアナリティクス>とは、従業員の行動データなどさまざまなデータを収集・分析し、より良い職場・働きかたを導き出す取り組みのこと。最近では専任のデータサイエンティストを配置する企業も出始めているそうです。

採用の領域でも「適正予測テスト」や「性格分析までできる面接動画ツール」など、新しいサービスが次々と生まれているほか、一部の業界ではAIによる採用活動も加速しています。これはアパレル・ファッション業界でも、地方店舗のスタッフ採用などに活用できるかもしれません。

このほか小売業界向けには、店舗の業務効率化のための「来店予測」「販売スタッフ配置の最適化」を行うサービスがあり、シフトの作成に活用されているそうです。

エンゲージメント

<エンゲージメント>は、企業に対する従業員の思い入れ・愛社精神を意味します。

販売スタッフを中心に採用難が続くアパレル・ファッション業界でも、「いかに従業員を辞めさせないか」が人事面での大きなテーマの一つ。
そこで大切にしたいのが、マネージャーからスタッフへ、またスタッフ同士でのちょっとした「賞賛」です。これをメールでのやり取りの中ですぐに行えるよう、ポップアップでお知らせするシステムが誕生しています。

また店舗スタッフなど、パソコンを持たない従業員を対象としたSNSを開発している企業もあります。今後アパレル・ファッション業界でも注目されていくことでしょう。

ギグ・エコノミー

<ギグ・エコノミー>とは、主にインターネットを通じて単発の仕事を請け負う働きかたのことで、特にアルバイト・パート領域で効果的に利用できます。

上述したとおり、販売スタッフを中心に採用難が続くアパレル・ファッション業界。「数時間働ける」という人材の獲得・活用がカギとなる中で、こちらも注目のワードになりそうです。

働き方改革実現のカギは“予算の獲得”!?

HR Techの活用に向けて、人事担当者がまずやるべきこととは何でしょうか。
加藤氏いわく、それはさまざまなサービスについて知ること、その知識をもとに社内へ活発にプレゼンすること、そしてそのための予算を獲得すること!だそうです。

「働き方改革」という言葉が頻繁に聞かれる今、良いサービスが次々に誕生しており、新しいことにトライするには絶好の機会となっています。
上層部などのキーマンを巻き込んで、自社に合ったサービスを見つけてみてはいかがでしょうか。


第2部:パネルディスカッション - HR Techの活用事例

登壇:神田 充教 氏(株式会社ストライプインターナショナル 取締役兼CHO人事本部長)

第2部:パネルディスカッション - HR Techの活用事例/登壇:加藤 丈幸 氏(PERSOL INNOVATION FUND合同会社)

従業員専用アプリ「amily」導入秘話

株式会社ストライプインターナショナルが2015年に発表した経営理念「セカンドファミリー」。
関係の質を上げることで、思考の質、行動の質、結果の質が循環的に上がっていくという考えに基づいて、従業員同士が家族の次に近い関係を築けるよう、この理念が掲げられました。

そのためのツールとして2015年2月にスタートしたのが、従業員専用アプリ「amily」です。
主な機能は、[1]従業員名簿、[2]社内向け広報のプラットフォーム、[3]1to1メッセンジャー機能「パチパチ」の3点。
[1][2]には同社ならでは、アプリならではのユニークな仕様が盛り込まれており、[3]の「パチパチ」は、従業員同士で誕生日メッセージや店舗ヘルプの御礼などを気軽に送れるツールとして、いずれも大いに活用されているそうです。
すなわち“ノンデスクトップワーカー向けの社内SNSを自社開発した”同社。いかに働き方改革に積極的に取り組んでいるかが分かります。

この「amily」について、神田氏にうかがいました。

導入に至った背景を教えてください。

アパレル業界の特性として、「店舗での人間関係がすべて」という考え方が強いと感じていました。
ですが実際には、店舗に採用されたのではなく、企業に採用されたのですから、もっと広い世界があるわけです。
それを可視化してあげること、例えば研修で一緒になった他店舗のスタッフとのコミュニケーションを取りやすくしてあげることで、社内の広がりを作れるようにしたかったんです。

どのような効果がありましたか?

以前から社内では、優秀なスタッフの流出が問題視されていました。
そこから経営理念として「セカンドファミリー」を掲げ、「amily」を導入したところ、離職率が半減しました。
それによって採用費や教育費など、お金の面にも分かりやすく効果があらわれました。

このようなツールを導入する際に、気を付けた方が良いことは何でしょうか。

どの会社でどんなツールを使う際にも言えることですが、使い方によって効果は全く変わってしまうものです。
まずは導入して、運用する中で知恵を絞って改善し続けることが大切だと思います。

導入にあたってはトップの承認が必須ですが、人事担当者としてどのように働きかけたら良いでしょうか。

当たり前ですが、どんなに効果的であっても、人は「知らないことはやらない」と思います。
まずはご自身でしっかりとリサーチして、高い頻度でインプットを繰り返すことが大切ではないでしょうか。
人事領域については経営トップよりも担当者のほうがプロになる訳ですから、絶対やるべきだというパッションと覚悟をもって挑むべきです。

「amily」のヘビーユーザーは?

メッセンジャー機能「パチパチ」は、本部よりも店舗スタッフが多く利用しているとのこと。当初の目的どおり、全国で社内の広がり・店舗間のつながりを生みだすことができているそうです。

積極的にマネジメントに活用している役職者もいらっしゃるという「パチパチ」、実は最も活用しているのは社長なのだとか。驚くような速さでレスがつくこともあるそうです。


第3部:グループワーク

第3部:グループワーク

ここでは5~6名のグループに分かれ、各社が抱える課題などについて、共有・ディスカッションを行いました。
クリーデンスが主催するセミナーではお馴染みとなっているグループディスカッション、日ごろは見えにくい他社の取り組みなどが分かる場として、毎回ご好評をいただいております。

今回ほとんどのグループで挙がっていたのが、現状は紙でのアナログ管理が主体であるという声。
人事・採用に関してはデータベース化されていない情報が多く、今から一元管理できる状態に変えることも一苦労…というお悩みを、多くの企業様が抱えていらっしゃいました。
また、データのデジタル化やHR Techの導入にともなっては、従業員への周知徹底や一人ひとりのITリテラシー向上が急務、というご意見もありました。

それでもスピーディーな人員配置や従業員フォローのために、皆さまHR Techの重要性を強く感じられていたのも事実です。
セミナー終了後のアンケートでも、
「自分でもHR Techについてもっと調べてみようと思う」
「非常に刺激を受けた」
「ネクストアクションが明確になった」
など、前向きなご感想を多くいただきました。


クリーデンスでは、今後もこのようなセミナーや講演会を企画してまいります。
テーマや登壇者についてのリクエスト、内容についてのご意見がございましたらお気軽にご連絡ください。
次回セミナーにつきましても、詳細が決まりしだい、メールや当ウェブサイト等にてご案内させていただきます。