アパレル企業特集

2021.03.29

株式会社ワールド(Dビジネス事業本部/Original Stitch)林 泰寛さんインタビュー

デジタルを通じてワールドグループから世界へ
グローバルD2Cサービス「Original Stitch」の挑戦

ワールドグループのデジタル戦略「D-GROWTH」をはじめ、様々な構造改革を手掛けてきた鈴木信輝氏が2020年6月、株式会社ワールドの代表取締役 社長執行役員に就任しました。それは、ワールドグループがデジタル戦略を今後さらに強化し、成長の柱にしていく決意の強さを感じさせられる発表でした。

そこで今回は、「D-GROWTH」の中から、デジタル事業の成長を支えるDビジネス事業本部に注目。グループ執行役員 Dビジネス事業本部 本部長の林 泰寛さんと、Dビジネス事業本部 アクセラレータユニット ユニット長の林 靖之さんにお話を伺いました。まさかの林さんかぶり!に、笑い溢れるインタビューとなりました。

Dビジネス事業本部 アクセラレータユニット ユニット長 林 靖之さんのインタビューはこちら

今回、この方にお話を伺いました!

グループ執行役員 Dビジネス事業本部 本部長
D2Cユニット ユニット長/Original, Inc.社長/Original Japan株式会社 社長

林 泰寛さん

グループ執行役員 Dビジネス事業本部 本部長 林 泰寛さん

大学院卒業後、米金融企業のメリルリンチに入社も、自身との適性を鑑み1年で退職し、株式会社ユニクロへ転職、19年半在籍。直近10年は、海外事業立ち上げ専門として各国を転々とし、インドネシアとカナダでは現地法人の社長を務める。2020年2月、株式会社ワールドに入社。現在は、グループ執行役員 Dビジネス事業本部 本部長として、ワールドグループの大きな柱のひとつであるデジタル事業の責任者を務める。

D2Cビジネスにチャレンジしたい僕の思いと、デジタル戦略をグループ成長の柱として注力していくワールドグループの思いがマッチした

本日はよろしくお願いいたします!

Dビジネス事業本部 本部長の林です。当社、何人も林がいるのでややこしくて(笑)僕はヤスさんと呼ばれています。

同じお名前の方が多いと呼称が大変ですよね。ではヤスさんと呼ばせていただきます!
さっそくですが、ヤスさんのこれまでの経歴を聞かせてもらえますか?

大学院を出て外資金融企業に入ったのですが、僕にはまったく合わなくて。1年で辞めてユニクロに入社し、19年半勤めました。直近10年はシンガポール、マレーシア、インドネシア、カナダを転々とし、現地事業の立ち上げを行ってきました。インドネシアとカナダでは現地法人の社長も務め、軌道に乗せてバトンタッチ、という役割です。

そこまで長らくユニクロでお勤めになって、なぜワールドグループへ転職を?

グローバル規模での店舗型ビジネスはとてもおもしろかったのですが、次第に僕個人の興味がD2Cビジネスへと変わってきたんです。そこで次のチャレンジの場を探していたところ、ワールドグループからデジタル起点のビジネスをやらないか?と声を掛けてもらって、二つ返事で入社しました。それが2020年2月です。入社当時は、まさかこのような(コロナ禍の)状況になるとは思いもしませんでしたが。

具体的にはワールドグループのどこに魅力を感じたのでしょうか?

ワールドグループは、アパレル事業をはじめ、プラットフォーム事業、デジタル事業など、多角的なビジネスを行っている企業です。それぞれに成長ポイントはありますが、中でも特にデジタル戦略をグループ成長の柱として投資し、成長していきたい、という姿勢を感じました。

ビジネスって、尖らせて突き抜けるパターンと、幅広く領土を増やしていくパターンとがありますが、ワールドグループはどちらかというと、チャレンジしながら広げていくタイプ。そこが、僕のこれからのチャレンジマインドとピッタリはまったんです。

入社後は、デジタル事業の中でどのような役割を担うか話し合って、結果として今のDビジネス事業本部全体を掌握することになりました。


各サービスの個社最適と、成功体験の横展開を両軸で成立させていく

では、「Dビジネス事業本部」について、どのような役割を担う組織なのか教えてください。

その名のとおり、デジタルを起点に新規ビジネスを生み出し、成長させていくための事業部です。D2Cユニット、シェアリングユニット、アクセラレータユニットの3つから成り立っています。

まずD2Cユニットには、オンラインカスタムシャツブランド「Original Stitch(オリジナルスティッチ)」と、オーダースーツ・セットアップブランド「UNBUILT TAKEO KIKUCHI(アンビルト タケオキクチ)」があります。いずれもデジタルを起点としたD2Cブランドです。

シェアリングユニットは、ユーズドセレクトショップ「RAGTAG(ラグタグ)」、サブスクリプション型バッグレンタルサービス「Laxus(ラクサス)」、国内外の余剰在庫を再編集したオフプライスストア「&Bridge(アンドブリッジ)」。サステナブルの観点で『モノを作らない』、つまり世の中にすでに存在するアイテムを“シェア”するビジネスです。

最後が、アクセラレータユニット。D2Cブランド、シェアリングブランドがそれぞれ縦軸で存在する中、デジタルの観点で各事業の課題を解決し、成長率を伸ばしていく、横軸の組織です。

この組織の目的は、各サービスの個社最適と、成功体験の横展開を両軸で成立させていくことです。
たとえばオリジナルスティッチで成功したことをラグタグでも取り入れていく、アンビルトで実現したことを、ラクサスでも流用する、という横のナレッジを展開し、相乗効果を生みながら全事業の成長を目指しています。

ラグタグやアンドブリッジなど、一部店舗展開しているサービスも見受けられますが、それらも含めてDビジネス事業本部に内包されている理由は何でしょうか?

ワールドグループの戦略的成長投資分野において、店舗展開とともに、デジタルも活かしながら拡大していくことを目指しています。たとえばサービスによっては越境ECや海外展開を進めていますが、それを実現する上で、デジタル強化は欠かせません。そのような先の成長を見越して、Dビジネス事業本部に配置しています。


ECを軸に、D2Cサービスならではのスピード感で成長していく

各サービスについて詳しく伺いたいところですが、今回は代表して、ヤスさんが代表を務める100%子会社、オリジナルジャパン社が展開するオリジナルスティッチを取り上げて伺いたいと思います。今後の強化ポイントはどういう点でしょうか?

オリジナルスティッチに関しては、ECサイトがお店であり、お客さまとの接点のすべて。つまり、サービスの柱であるECサイトを磨きこんでいくことが、事業成長の核となります。
世の中で成功しているデジタルネイティブなビジネスは、恐ろしいほどの速さで成長しています。その成長スピードの理由は、絶え間なく新しいサービスをローンチしていること。これはD2Cビジネスだから実現できるものなので、われわれもスピード感にはこだわっています。

ただ、僕含めメンバー一同で頑張ってはいるものの、時代のスピード感に対して体制が追い付いていない状況です。お客さまにご満足いただくためのサービスを次々にご提供していくため、高速でPDCAを回せる体制づくりが急務です。

現時点でビジネスとしてうまくいっていることと課題はそれぞれ何でしょうか?課題に関しては「人員体制」が挙がりましたが、他にもありましたら。

オリジナルスティッチには、シャツという「モノ」ありきのサービスです。ECでのサービスと工場でのものづくり、サプライチェーンのバランスが重要で、そこが動画配信サービスなど、デジタルのみで完結するサービスとは大きく異なる点です。現在はそのバランスが、うまくかみ合っている状態にあります。

課題は、良い点との表裏一体なのですが、見方を変えれば「安定しすぎている」ことです。
本来、ビジネスの成長過程においては、工場が追い付かず、サプライチェーンが悲鳴を上げるくらいのスピードでサービスをリリースしていくのが理想です。そうでないと、お客さまの本質的なニーズを実現することはできませんから。つまり、バランスがかみ合っているということは、まだまだ成長速度が足りていないということなのです。

なるほど、うまくいっていること自体が課題である、という…。

通常サービスにプラスアルファして色んなオプションサービスを提供していきたい。さらに個人のパーソナリティに最適なファッションの提案をしたい。など、僕たちの中で実現したいサービスはたくさんあります。
そのためにも、一緒にそれらを実現してくれる仲間が欲しい!というのが一番の思いですね。


商品MDの広がりと、ECサービスの広がりを掛け算することで、
無限に広がる可能性

コロナ禍における急激なマーケットの変化は、D2Cビジネスにおいては追い風になると捉えています。実際にこの1年を振り返り、どのような影響があったでしょうか。

「5年後の変化が前倒しでやってきた」なんて言われていたりもしますよね。今までサービスを利用してくださっていたお客さまは、生活様式が大きく変化した今も変わらず使ってくださっているので、実店舗と比べてネガティブな影響はほぼありません。むしろ店舗メインだった方の消費スタイルがECに移行することを考えると、成長の可能性しかないビジネスだと捉えています。

そうした現状を踏まえ、これからオリジナルスティッチとして成し得ていきたいことをお聞かせください。

商品MDの広がりと、ECサービスの広がりを掛け算することで、乗数的な成長を遂げていきたいです。

商品MDに関しては、現在メインで展開しているメンズのカスタムシャツにとどまらず、ジャケットやパンツ、パーカー、靴、カバンなどどんな方向にも広げていくことができます。ECサイトに関しては、サービスそのものの拡大はもちろんのこと、販路も広げたい。実は今、すでに世界55ヶ国に提供していて、越境ECの環境はすでにあるんです。あとはサービスをどれだけ拡大し、国ごとのカスタマイズをどうすべきかを考えていきたいです。

オーダービジネスもこの数年で増えていきましたが、まだまだ消費者の目線で見るとニッチなサービスですし、確固たるシェアを獲得しているサービスもまだありません。いち早くファーストムーバーアドバンテージを獲得していきたいですね。


「お客さまに喜んでいただき、リピートしていただく」という
商売の本質的な喜びにやりがいを感じられる方と働きたい

オリジナルスティッチの「こうありたい!」を共に実現していくにあたり、「こんな人と一緒に働きたい」というメッセージをお願いします。

今回のように「こんなことしたい!」という話をしているときは楽しいですが、日々すべての時間をスーパーハッピーに過ごせるわけではありません。初めてのことにも挑戦し、大変な経験も重ねながらサービスをローンチしていくのが仕事です。

お客さまに喜んでいただく、という理想を実現するにあたり、たとえばサプライチェーンや工場との調整、時には摩擦もあるでしょう。そんなときこそ熱意を伝え、「○○さんがそこまで言うならやってみようか」と人を巻き込んでいく。その結果、お客さまに喜んでいただき、売上に繋がり、関わった全員の達成感に繋がる。そんなふうに、熱意で新しいことを動かしていける人がいいなと思っています。

アパレル業界では「あるある」ですが、ファッションに対する興味関心はどこまで必要でしょうか?

まったくこだわっていないです。どちらかというと「お客さまに喜んでいただき、リピートしていただく」という商売の本質的な喜びにやりがいを感じられる方と一緒に働きたいです。

われわれはファッションアイテムを提供しているサービスですが、たとえ違うものを扱っていたとしても、ビジネスであり、お客さまがいる以上、同じマインドセットは必要です。その根本を共有した上で、「おもしろそうだな!」「自分のこれまでの経験を活かして新しいチャレンジができそうだな!」と思ってもらえれば嬉しいですね。

商売の本質的な喜びがやりがいに繋がる…確かに商材や販売チャネルには影響されません。

僕はたまたまファッションの世界から来ましたが、実際にDビジネス事業本部のメンバーは、IT、ゲーム、コスメなど、色んな業界の経験者が集まっています。また、ブランド側にいた社内スタッフが興味を持って異動してきたパターンもあります。そういう色んなバックボーンを持ったメンバーが集まって、新しい事業を生み出していく。それが今後のワールドグループの新しいスタンダードになっていくのではないでしょうか。

果敢に新たなチャレンジを続けるワールドグループですが、「お客さまに喜んでいただくためのサービスを創る」という姿勢は変わらないことが、ヤスさんの様々な言葉から伝わってきました。ありがとうございました。

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株式会社ワールド

株式会社ワールド

事業内容 ブランド事業、デジタル事業、プラットフォーム事業
事業所 本社:神戸市中央区港島中町6丁目8番1
東京:東京都港区北青山3丁目5番10号 ワールド北青山ビル
設立 1959年1月13日
代表者 代表取締役会長 上山 健二
代表取締役 社長執行役員 鈴木 信輝
従業員数 9,683名(2020年3月現在)
資本金 60億円
 

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