アパレル企業特集

2019.05.21

UT(株式会社 ファーストリテイリング)

世界中のあらゆるポップカルチャーをTシャツで発信する
「UT」がTシャツを通じて目指す世界とは?

2003年にスタートしたユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」は、自分の個性を自由に表現し伝える自己表現のツールとして、アート、音楽、映画、漫画、アニメなど旬なポップカルチャーを幅広くコンテンツに取り揃え、毎年たくさんのグラフィックTシャツを展開してきました。今回は、グローバルマーケティング部 部長(PR担当)兼 UTコラボレーション事業推進部 部長の松沼 礼さんにインタビュー。UTのビジョンやUTならではのおもしろさ、これからの可能性などについてお伺いしました。

今回、この方にお話を伺いました!

グローバルマーケティング部 部長(PR担当)兼 UTコラボレーション事業推進部 部長

松沼 礼さん

グローバルマーケティング部 部長(PR担当)兼 UTコラボレーション事業推進部 部長 松沼 礼さん

2002年に大学卒業後、グラフィックを独学し、2004年、ユニクロにグラフィックデザイナーとして入社。「UT STORE HARAJUKU.」の立ち上げプロジェクトに参画し、UT事業のチームリーダーなどを経て、2010年よりユニクロデジタルマーケティングチームリーダーを兼任。多数のプロジェクトやコンテンツの企画に携わり、現在はグローバルマーケティング部 部長と、UTコラボレーション事業推進部 部長を兼任。

UTのビジネスによって、
世界中のあらゆる人々のカルチャーリテラシーを上げることができる

まずは改めて「UT」のコンセプトについてお聞かせください。

ユニクロのコンセプト「LifeWear」には、ユニクロの服を着ることで、世の中のあらゆる人々の生活や生き方などが豊かに有意義になるように、という思いが込められています。UTはその中でも特に「CULTURE(カルチャー)」の部分を担っているTシャツブランドで、「世界中のあらゆるポップカルチャーをTシャツで発信する」というスローガンを掲げています。
カルチャーには、人の生き方や営みをより豊かで楽しく、奥行きのあるものにする力があると、私たちは信じています。メッセージが載せられた1枚のTシャツを着ることで自己表現に繋がることはもちろんのこと、「そのバンドが好きなんだね」「そういうアーティストがいるんだ、かっこいいね」と誰かにとってのカルチャーの入り口になる。UTが目指しているのは、そんな世界です。
Tシャツはシンプルな服なので、それだけに老若男女、世界中の人々が一番持っている衣類かもしれません。そのTシャツをツールとして捉え、カルチャーをのせて発信することで、世界中の方々の生活を豊かにしたいというのが、UTの持つ根源的な思いです。

UTが17シーズン目を迎える中で、その思いが実現できているな、と感じる瞬間はありますか?

現在、UTが特に売れているのは、中国を中心としたグレーターチャイナやASEANです。これらの地域は、いわゆる“ジェネレーションZ”と呼ばれる1990年代後半~2000年生まれの新世代の勢いがとても強いのですが、実はこの世代、あまり文化的背景を持っていません。そういう方々が、UTをきっかけに世界中さまざまな文化やコンテンツに触れ、興味を持ち、楽しむ、ということが起こり始めています。
カルチャーに触れるきっかけを作ることによって、世界中のあらゆる人々のカルチャーへの興味を高め、しかもそれをビジネスとして創り出すことができつつある。そんな手ごたえは徐々に感じています。

それはコラボレーションした方々も嬉しいでしょうね!

数々のコラボレーションを通じて僕が感じたことがあります。それは、アーティストの方々は、アートという敷居の高いものをいかにデモクラティックにするか、すそ野を広げて誰もがアクセスしやすい状態にするか、ということを常に考えているということです。UTは、“990円で買えるアート”という表現をしていますが、そんなアーティストの方々の想いを形にできる媒体です。世界中でUTが売れて、多くの方々に受け入れられているさまを見たアーティストさんから、「コラボして本当に良かった」というコメントをいただくことも、一度や二度ではありません。
お客様もアーティストの方々も、もちろんUT担当者もみんな嬉しい、全員が幸せになれる良いビジネスです。


なぜそのデザインなのか、
「インプットする力」と「編集する力」を醸成させる

世の中には数えきれないほどのカルチャーやコンテンツがありますが、どのようにそれを選択するのでしょうか?

「ユニクロならでは、UTならではの差別化された商品を生み出す」を軸に選択します。どういう点で競合優位性を生み出せるか、何を以てその商品を魅力的だと思ってもらえるか、そういう視点でコンテンツを企画し、デザインを開発しなければなりません。

音楽や映画、アート、キャラクター、スポーツなど、様々なカテゴリーの中で、それぞれのコンテンツが生まれてきた背景や歴史があります。それらが色んな人の手を介することで新しく編集されてまた新しいカルチャーが生まれ、世の中の様々なカルチャーが成熟してきました。その理解を深めた上で、「今、こういう時代だからこそこういうコンテンツが受けるのではないか」ということを突き詰めていきます。
当たり前のことですが、デザインにはすべて理由があります。深い洞察と知見を持って企画し、デザインし、そこに至った理由を言語化することを大事にしています。

なるほど、デザインの根拠として「インプットする力」と「編集する力」が重要ということですね。

その通りです。また、国や地域によってもコンテンツやグラフィックの嗜好性は全然違います。自分たちの経験してきた世界や領域だけが正解ではなく、インサイト―― つまり相手の立場に立った視点を持ち、貪欲にリサーチしていくことも重要です。
世界22の国と地域にいるユニクロの仲間たちと一緒に仕事をしながら、「こういうものが好かれているのであればこういうコンテンツを考えて、こういうデザインで展開し、このボディに載せてみよう」といったことをグローバル規模で展開することによって、より無駄がそぎ落とされた逸品に仕上げていく。それがUTのものづくりのおもしろさだと思います。

UTのビジョンを実現するために、さらに伸ばしていきたいと考えている部分はありますか?

今お話ししたようなインプット力と編集力は、組織としてもUTのメンバー一人ひとりとしても、さらに研ぎ澄ましていきたいですね。世の中のニーズや潮流に対するアンテナを常に張り続け、「なぜそのコンテンツなのか」「なぜそのコンテンツをそのグラフィックとして表現するのか」という根拠がないと、世の中の人々の心には届きませんし、ビジネスとしての成長もありません。

まずは個人として日々の生活の中でさまざまな情報を見聞きし、さまざまな人々と出会い、ネットワークを広げていくことが大切ですし、組織としても、世界中に拠点を作って社内にリソースを作ったり、色んな編集部やパブリッシャーと組んでインサイトを発掘したりしながら、さまざまなアイデアを実現させていくことが大切です。これらをさらに伸ばしていくことで、本当に良質で世の中に伝えたいコンテンツを、UTのフィルターを通じて今以上にお客様に届けることができると考えています。


今後さらに世界中の方々にUTを届けていくために

松沼さんが感じている、UTのおもしろさはどういうところでしょうか?

グローバル規模でダイナミックなビジネスを、驚くほどのスピードで展開しているところです。日本においては少子高齢化という面もありますが、他国に目を向けると、先ほど申し上げたような若者の購買意欲がすごいんですよ。僕も仕事で様々な国に足を運んでいますが、発売と同時に数百人の列ができるなど、UTへの高い期待を肌で感じています。この方々に受けるコンテンツって何だろう、デザインって何だろうって、自然とわくわくする、とてもエキサイティングな事業です。

デザイナーの方々も出張などを通じて、世界中のダイナミックな動きを体感する機会はありますか?

もちろんです。定期的に市場を見ることに加え、インプットとしてカルチャーを発信しているさまざまなお店や美術館などにも足を運んで見聞を広げる機会を設けています。また、NYにもデザイン拠点がありますので、そことのコミュニケーションやジョブローテーションの機会も増やして、多様性を許容しながら仕事をすることで学べるデザインの感性を磨いて欲しいと考えています。将来的にはさらにロンドンやパリといったエリアにも拠点を作っていけると良いですね。

これからのUTにはどれだけの成長可能性を秘めているとお考えでしょうか?

今やTシャツは暖かい日のためだけの季節商品ではなく、秋冬も含めて一年中楽しめるアイテムとして定番化しています。それは我々にとって、マーケットの拡大を意味するものです。それぞれの国や地域と、そこでの気候などを踏まえて年間計画を立て、お客様の普段の生活の中でUTのTシャツを買うような導線を作っていくことで、今後さらにUTがより多くの方々の手に届き、ブランドが成長していくと考えています。
社長の柳井はUTに対し、「ユニクロがグローバルでビジネス展開するにあたってUTが成長エンジンになり得る」と話をしています。社内からの期待値も非常に高いので、ユニクロ全体の成長にも繋がるよう、UTの世界観やブランディングをより強化していきたいです。

ちなみに…少し余談になるのですが、松沼さんが個人的にUTで叶えたい夢は何ですか?

個人的には、いつかUTギャラリーやUT美術館といったものを作りたいですね。これまで相当な種類のUTを作ってきていますので、それらのアーカイブがずらっと並ぶとそれは壮観ではないかなと。一歩踏み入れた瞬間に「すごいな」と思っていただけるのではないかと思っています。
もう一つ、これは近く現実にしたいですが、来年2020年は東京オリンピックがあって、約4000万人の外国人の方が来訪されるとのことなので、それは相当楽しみです。外国人観光客のみなさんが一番買ってくれたものランキング1位、UT!っていう結果を残したいですね。

最後に、UTに興味のある求職者の方々にメッセージをお願いします。

好奇心旺盛でコミュニケーション力があって、真善美、すなわちものの価値観や良しあしがわかる方。
日々さまざまな文化に触れているか?ということだと思いますが、さまざまなことに興味関心を持ち、野心を持ち、いろんな人と繋がって、新しいインプットを糧にアウトプットしていきたい、という方との出会いをお待ちしています。

UTのデザイナーにASK!

今回は松沼さんに加え、UTデザインチームの方々にもお話を伺いました。
より現場の目線で語られるUTのリアル、ぜひご覧ください!

企画から店頭に並ぶまでの流れを教えてください。

およそ1年ほどかけて企画を進めています。まず年間の売上目標を立て、それをもとに月次のコンテンツを決めていくビジネスプランを立てます。同時に、コンテンツのコンセプトや具体的な企画などのアイデア出しを並行して行います。それらを踏まえて実際デザインをし、生産プロセスがスタート、量産の上、店頭に並びます。
チームは大きくメンズ・ウィメンズに分かれていますが、あくまで形式的なもので、基本的には得意な人がそのコンテンツを担当すればよいという考えです。ウィメンズのデザイナーがメンズのコンテンツを手掛けることもあり、余計な線引きはせずフレキシブルに体制を作っています。

デザイナーが「どうしてもこの人とコラボレーションしたい」と思ったとき、それを実現することは可能でしょうか?

それがビジネスになるか、UTから発信する意義や必要性は何か、というところが伴えば実現は十分可能です。UTチームだけでなく、「UTだったらできるんじゃない?」というアイデアが出てきたり、他社から打診をいただくこともあります。また、現代アーティストのKAWS(カウズ)がスヌーピーやセサミストリートが好きなことがきっかけで、三社によるコラボレーションが生まれる、といった化学反応も多数生まれています。

UTで働く一番の魅力は何ですか?

UTでないと一緒にコラボレーションする機会はなかったかもしれないほどのトップクリエイターやアーティストの方々と直接コミュニケーションを取りながら、ものづくりができることです。アーティストの方々が持つこだわりを吸収したり、アドバイスをいただいたりすることで、大きく自己成長することができます。
さらに、そうして作り上げた商品が、世界中で販売されるということも大きなやりがいです。日本はもちろん、ニューヨーク5番街というビジネスの中心や、パリのマレ地区のようなファッション最先端のような場所で、高級ブランドと並んで自分たちのデザインしたUTが並ぶさまを見ると興奮しますし、世界中でUTを着ている人を見かけるたびに心から嬉しくなります。

すごくワクワクするクリエイティブな環境ですね!一方、人によってはギャップに感じるかも…という点はありますか?

企画書を書いたり、工場とコミュニケーションを取ったりなど、商品にするまでのプロセスすべてに携わるので、デザインだけをすればよい環境ではありません。そこはギャップに感じる方がいらっしゃるかもしれませんので、事前に知っておいていただきたいです。現時点で洋服のものづくり経験がなかったとしても、入社後に学ぶことはできます。服が好きで、ものづくりの工程に興味を持って楽しめる方は大歓迎です!

最後に、どういう方と一緒に働きたいですか?

一番は服が好きであること。私たちは服のブランドなので、グラフィックTシャツブランドとしてのUTをより良くしていきたい、という思いに共感いただける方に来ていただきたいです。
二つ目は柔軟であること。社内全体としてもユニクロとしてもUTとしても目まぐるしいスピードの中でビジネスを展開していますので、ビジネスの本質を捉えた上で、変化に柔軟に対応できることが大切です。
最後は、いつまでも若い心を持っていること。新しいことにアンテナを張って、常にいろんなことに興味を持ち続け、感度の高いインプット・アウトプットをしていただきたいです。
全世界に向けてUTを提案するダイナミックさを楽しみたい!という方、ぜひ一緒に働きましょう!

UT(株式会社 ファーストリテイリング)

UT(株式会社 ファーストリテイリング)

事業内容 ユニクロ事業:商品企画・生産・物流・販売までの自社一貫コントロールにより、高品質・低価格のカジュアルブランド「ユニクロ」を提供する製造小売業(SPA)
事業所 本社:山口県山口市佐山717番地1
六本木本部:東京都港区赤坂9丁目7番1号 ミッドタウン・タワー
有明本部:東京都江東区有明1-6-7-6F UNIQLO CITY TOKYO
設立 1963年5月1日
代表者 代表取締役会長兼社長 柳井 正
従業員数 53,571名(2019年2月28日現在)
資本金 102億7,395万円

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