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デザインタイド チーフディレクター 青木昭夫 安積朋子 シムラブロス リーフ デザインパーク 沖恵美子 参/mile
「mile(マイル)」
 
  プロジェクトを立ち上げたきっかけなどを教えてください。
 
  松尾:結成したのは1999年。当時僕らは同じ大学で、僕が機械工学、甲斐が情報系、下山は建築系の学部でそれぞれ違うポジションでモノ作りをしていたんですけれど、そういう違う目線を持ったメンバーでひとつのモノを作ったら面白いモノになるんじゃないか、ということでこの活動を始めました。今も3人とも会社勤めをしていて、学生時代の立ち位置のまま皆プロになったという感じ。僕は某AV機器メーカーで音響機器のエンジニアをしています。

甲斐:僕はコンピューターのプログラマーで、今大阪に住んでいる下山はインテリアデザインの事務所でデザイナーをしています。実質的にデザインの仕事に就いているのは下山だけで、松尾と僕は普段からデザイン業界で働いているというわけではないんです。

松尾:3人とも自分の立ち位置でデザインというものに関わっていきたいと考えています。3人の関わり方がわかりやすいのは一番最初の作品かな。僕が作ったテレビで、甲斐が作った映像を流し、下山が作った椅子に座ってそれを見る。そういう空間作りができるんじゃないかと考えたのが僕ら3人のモノ作りの始まりです。

甲斐:意匠だけのデザインではなくて、モノ作り全体を考えるユニットでありたい。もちろん、何かを美しくデザインする仕事というのも素晴らしいけれど、それぞれ自分の職能を持った上で、それを持ち寄って考えることができれば、いわゆるデザイン業界の叩き上げの方々とは少し違う視点からモノ作りができるんじゃないかなと思うんですよね。

松尾:実際に見ていただくとわかると思うのですが、僕らの作品は、カタチが洗練されたものというよりも、視点がちょっと変わっているとか、技術的な部分で今までにはないアプローチをしているものが実は多いんですよ。
  デザインタイドで展示する作品について教えてください。
 
  松尾:この秋発売になる商品があって、今回のデザインタイドではそのプロモーションを兼ねた展示をする予定です。「Whose leg?」という照明なのですが、本来照明というのは何か光るものがあって、そこにシェードをかぶせて光を拡散させたりするものだけれど、僕らがデザインしたのは、充電式のバッテリーを入れたシェード。シェード自体が光れば、それをかぶせたものが何でも照明になるわけです。ワイングラスやボトルにかぶせてもいいし、テーブルにちょっと傾けて置くだけでも光が下から漏れてキレイなんですよ。で、今回はデザインタイドの「PLAY=COMMUNICATION」というテーマに合わせて、色んなものにこのシェードをかぶせてもらって、みんなに色んな照明を作ってもらう展示を考えています。かぶせるものによって光り方が変わるということを、自分でやってみて感じてもらえればと思います。 それと、今回のデザインタイドでは自分たちのブース以外に、中目黒の燕子花(かきつばた)というセレクトショップ兼ギャラリーのエキジビションにも関わっていて、9月の「TENT LONDON」でお披露目した輪島塗の汁椀や酒器、箸、箸置きを展示販売します。
  モノ作りにおける3人の役割分担は?
 
  甲斐:3人の役割分担は作品によってマチマチで、誰かが発端になっている場合もあれば、3人で話しているなかで生まれたものもあって。「Whose leg?」の場合は下山がラフスケッチを描いてきて、どうやったら実現できるだろうと3人で考えた感じでしたね。

松尾:だいたい、まず試しに作ってみます。わりとすぐに使えるレベルのものを作れてしまうのは、僕らが技術系出身だからかもしれないですね。試作品をもとにシェードの傾斜をもっとこうしようとか、こういう仕組みの方がいいとか話し合って作っていった感じ。「Whose leg?」は昨年の秋に試作品という形で展示したものなのですが、それを見て気に入ってくれたメーカーさんがいて、この秋商品化されて全国的に発売されることになりました。今までは“商品”よりも“作品”を作ろうというスタンスで、出来上がりのモノよりもコンセプト的な部分を見せる展示が中心だったのですが、やはりこうした活動を続けていくなかではビジネスベースの動きも必要だろうということで、商品化を前提にした提案にも力を入れていくことにしたんです。で、このシェードはその第1弾。
  アイデアはどんなときに浮かびますか?
 
  甲斐:僕は深夜ですね。深夜に電気を消してボーっとしている時。

松尾:僕は話をしている時。3人で話している時に一番アイデアが出てきます。甲斐と下山が話していてポッと出てきたものを、僕が「こうやったらいいんじゃない?」といって発展させていくことが多いかな。
  それぞれにお仕事をお持ちですが、3人で会う頻度はどれくらい?
 
  松尾:週に2回くらいですね。集合場所はここか、街中のカフェ。下山が大阪に引っ越してから3人で会う機会は少し減っていますが、メールでやりとりしたり、夜はスカイプを使って話したりしています。スカイプは電話と違って3人で同時に話せるからいいんですよ。12時くらいから始めて、2時、3時くらいまでスカイプ会議をしています(笑)。

甲斐:他愛もないことを話しているだけなんですよ。今日どんなものを見たとか(笑)。

松尾:それぞれ普段の仕事が違うので、自分の分野から見た情報を出し合っているのですが、そういう日頃の何気ない情報交換からアイデアが生まれることは多いですね。

甲斐:各自専門分野があるので、学生の時以上に分担は明確になっていることは確かですが、分担をはっきり区切るつもりはないんです。それをすると普通の会社と同じだから。専門分野が違うからその人の職能を尊重できるし、逆に専門職ゆえに固定観念にはまっている部分が傍から見ればわかるので、そういう時は「違うんじゃない?」と指摘できる。
  これからの夢は?
 
  松尾:ここ数年でやりたいと思っているのは、各自の足場をもっとしっかりしたものにすること。それぞれの専門分野で独り立ちして、その上で参(mile)として活動できるのが理想です。

甲斐:ひとりひとりピンで立てるくらいにならないとね。

松尾:それぞれの会社でも一人前としてやっていけるようになってきたし、徐々に理想の形には近づきつつあります。あとは、もっと色々な人を巻き込んで、今以上に影響力のあるところで活動していきたいという思いもありますね。ファッション業界とのコラボレーションという部分についてちょっと営業モードで言うと、アパレルの人たちは色々アイデアがあるんだけれど、デザイン業界がとっつきにくくて実現できずにいる、というような話をよく聞くんですよ。参(mile)にはそういうアイデアを実現できるメンバーが揃っているので、「こういうことをやってみたい」とか相談していただければ嬉しいですね。

甲斐:参(mile)はそんな時に重宝するユニットだと思います(笑)。

松尾:ある展示会に作品を出してみようということになって、学生時代に参(mile)を結成したのですが、そのユニットが今まで続いているというのがなんだか不思議。なんとなく集まった3人だったけれど、ちょうどいい3人だったんだなと思いますね。
 
 
参/mile
筑波大学在学中に松尾伴大、甲斐健太郎、下山幸三の3人で結成。大学卒業後はそれぞれの専攻を生かして就職し、会社勤めとデザイン活動を両立。音響機器のエンジニア、コンピューターのプログラマー、インテリアデザイナーという異色の異業種3人組ユニット。
http://www.wajimaxkakitsubata.com/

photo : Takumi Ota
 
photo : Takumi Ota
 
photo : Takumi Ota
 
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